Lady go !― 幸せがクルマで♪ ―
いよいよチビちゃんとパパさんを乗せる日が来た。
はじめましてパパさん。助手席には チビちゃんが座った。パパさんは 後部座席で生意気な動物を抱きかかえていた。ワタシはというと少し緊張気味での発進。出だしは好調。だってママさんがお手入れしてくれたんだもの。
少し遠くの緑地まで出かけた。その帰り道、遊び疲れたチビちゃんは後ろのシートで眠っていた。ワタシは揺れないように 静かに 静かに 頑張って家まで走ってみせた。ママさんはチビちゃんを抱きかかえると、いつものようにワタシをポンと叩いて「またね」と家の中に入って行く。
今度の日曜日も張り切って走ろう。それまではゆっくり休んでおこう。ドライブから戻ってくる夜は、きまってこんなふうに思ったの。
それからは家族を乗せて、いろんな旅行を楽しむことになった。
ドライブに出かける日には、必ずママさんがワタシをピカピカに洗ってくれる。だからワタシはいつも元気に走ってみせた。ママさんも満足げな顔をしてくれているようだった。ママさんは常に手入れをしてくれていたし、チビちゃんはドライブに連れて行ってよと いつもおねだりをしてくれる。ワタシを気に入ってくれたようよ。ワタシも大好き。パパさんはどうなんだろう。
いろんな所に三人と一匹を乗せてドライブに行ったわね。
ママさんのおかげで、いつも元気にグングン走れた。
ある日、チビちゃんがとても泣いていた。
そばにはママさんもパパさんもいて、とても寂しそうにしていた。そしてパパさんの大きな掌の中で、小さくて生意気な動物は眠っていた。パパさんが生意気な動物を、公園に埋めてあげようってチビちゃんに言ってあげたの。
チビちゃんはずっと泣いていた。
次の日、ワタシはママさんとチビちゃんと奇麗な箱を乗せて、家族のお気に入りの公園まで走ったの。そして二人はその箱を大きな木のそばに埋めてあげたわ。チビちゃんが生意気な動物のために作ったその奇麗な箱には「ラッキーのおはか」と記してありました。
いろんな国を旅して、船にも乗ったし、最後にはこんなに優しい家族に囲まれてチビちゃんとも仲良くなれた。心の中の幸せを見つけられたのかな?
帰り道。その事をずっと考えながら走っていた。すると、ワタシはその帰り道でピタリと止まってしまったの。
作品名:Lady go !― 幸せがクルマで♪ ― 作家名:甜茶