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その声は低くでも優しい発音で心地良い声だった。
顔を上げてその声の主を見た。
ダイニングテーブルに座りコーヒーカップを両手で持ち、私に微笑んでいるその人は
紛れもなく男の人だった。
白のシャツを無造作に来ていてボタンが2つしかかかっていない。
シャツのはだけた胸には彼と同じ羽根のペンダントが見えた。
少し長めの栗色の前髪をピンクのピンで留めている。
確かに私にとっては、初めてじゃない。何時だって見ていたもの。
だ・け・れ・ど それはTVの中での事。
アイドルスターの恋様。
「着替えてくる」
くるりと体を回転させて部屋に戻りかけた。
「何言ってんだよ。いまさら」と彼が言う。
その隣の男子は気の利いたことを甘い声で言う。
「そのままでも十分可愛いから」と。
TVのまんまだ。なんて素敵な笑顔。