父のつくり話
わたしたちが通っていた
小学校の校庭のど真ん中に
「せんだんの木」があって
その根っこはどうして赤いか。
☆.。.:*・゚
お父さんがね、出張で家にいない間
お母さんはいつもおまえたちをイジメてた。
実はお母さんは世にも恐ろしい
〝山姥(やまんば)〟だったんだ。
ある日、おまえたちはお母さんから逃げて
〝せんだんの木〟の上に登った。
追いかけてきたお母さんは
〝せんだんの木〟の下の池に映った姉弟を見て
『こんなところに隠れおって!』と
ザルですくい始めた。
いちばん頭の悪かった末の弟が(ここでみんなが笑う)
その姿を見てクスクスと笑ってしまったので
木の上に隠れているのがバレてしまった。
いちばん頭が良かった上の姉が(ここでブーイング)
『手に油を塗って登れば簡単よ』といったので
お母さんはいわれた通り
手にたくさん油を塗って登り始めた。
もう少しで手が届くというときに
ツルリと手がすべり
お母さんは木の下に落ちて死んでしまいましたとさ。
だから〝せんだんの木〟の根っこは赤いんだよ。
°・*:.。.☆