嘘でもいいよ vol.20 悪事
嘘でもいいよ vol.16
<今日は朝からだるい…>
<元気の出るお薬あげよっか?>
<うん>
<はい、どうぞ>
私は撮りためていた写真の中からセミヌードの写真を
純君に送った。
<勃った(笑)>
<元気出た?>
<出ました~>
<じゃあ、がんばってね>
<は~い>
それから、幾度となく、新調した下着を身に着けて
撮った写真や、もちろんお尻の写真も送ってあげた。
<早く保存して!>
<OK!>
<レイちゃんの写真をおかずに…一人でしました>
<私は、あの日の純君の指の感触を思い出してしました>
<エッチ>
<エッチ(笑)>
<レイちゃん、乳首の写真送って>
<はい>
私はもう以前のようにためらったりはしなかった。
<わぁ~どうしたの?>
<だって、もう純君見たじゃない>
<確かに。そういうことね>
純君と外で会うことはなかなか難しい。
ホテルで会うのが一番簡単かもしれない。
なんてったって、旦那は営業で街中うろうろしているのだし、
下手をしたら、息子に会う可能性だってある。
<あそこのホテルの入り口って、駐車場の脇かな?>
<確かそうだったと思うよ>
私たちが二人で使ったことはないが、お互いに別の人と
使ったラブホテルのことだ。
渋谷から2つ目の駅を降りて少し歩いた大通り沿いにある。
<ねえ、どっちがいいかな?>
<どっちって?>
<あのね、普通のプリンスホテルとかもデイユースってあって、
休憩ができるのよ。純君はラブホの方がいい?>
<どっちでもいいよ>
人目に付きにくいのはシティーホテルだろう。
ただ、ネットで予約しなければならないようなのが
少し面倒だったし、ばれやすい気もした。
なんとかノックから先に進みたい私たちは
場所や、時間、色々なことを入念に考えたし、
もちろん彼は仕事中だから
この日、という約束はできなかった。
ある日の昼前、テレビの前で化粧をしていると
純君からのメッセージが…。
<レイちゃん、今日行く?>
<どこ?>
<例の、ラブホ>
<今日!?>
<そう、今日>
<わかった、行く>
<じゃ、渋谷を出る時、またメッセージ送るね>
ついに、本当に愛し合う日が来た。
それも突然に。
作品名:嘘でもいいよ vol.20 悪事 作家名:momo