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モンスターファクトリー
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Monster Factory  『すべてのはじまり』

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配達屋 ロッティ





ドンドンドンドン!
ドドドンドンドン!

朝からジョニーの家のドアをノックする音が聞こえます。
まだ起きたばかりでボーっとしているのにいったい誰だ。
ジョニーはドアをあけました。
「おはよう!」
そこにはロッティが立っていました。
「おはよう。」
ジョニーは眠そうに言いました。
「お届けものだよ!」
ロッティはものすごく元気で声が大きいので、ジョニーは起きたてには会いたくない相手だなと思いました。
「ありがとう。」
ジョニーはぐちゃぐちゃの包みを受け取りました。
「ロッティ、これってはじめからぐちゃぐちゃだったのか?」
もちろんロッティがポケットに入れて気にせず走ってきたからぐちゃぐちゃになったのです。
「んー覚えてないよ!だって走ってきたから!」
ジョニーは届ければいいってもんじゃないと言いたかったのですが、寝起きでいまいち頭がまわりません。
「ああそう。まあいいや。ありがとう。」
ジョニーはしかたないなぁと諦めてお礼を言いました。

そしてロッティが走っていく姿を見ていました。
ロッティの体は柔らかく、走っていくとまぁるい体の形がいろんな形に変化します。時々ケイトがくれたジェリービーンズのような形になったり…。
いつも飛びながら走り、一瞬でいなくなるのです。運ぶ荷物はぐちゃぐちゃになるものの、ロッティの走る姿はいつも素晴らしくジョニーは見るたびに感動します。

あ、ロッティを工場に誘おう!
ロッティは遠くの町まで配達をするのでなかなか普通に会うことはできません。ジョニーは一日悩んで手紙を書くことにしました。
書き終えて泥で封をして葉の無い紫の木の森へむかいました。
ジョニーは上を見上げてテレパシーが使えるシーを探します。
シーは青い透明のプルプルした体のモンスターで、細い尻尾で木にぶら下がっています。配達を頼むときはまず、シーに頼みます。
するとシーは仲間にテレパシーでロッティがどこにいるかを聞き、一番近い仲間がロッティに配達の事を伝えます。
いつも配達を頼むときはプレッチェロに行ってもらうので、ジョニーは緊張していました。少し歩くとシーの仲間たちが木のかなり
上の方にぶら下がっていることに気づきました。
「シー!配達があるんだ!」
ジョニーが叫ぶとその中の一人が枝に絡んでいた尻尾をはなし、まっすぐ水滴の様に落ちてきます。
あぶない!と思った時、ジョニーの少し上の方であたらしい枝につかまり、ぐるんと一回転しました。
「ちょっと怖かった?」
とシーは揺れながら笑いました。
「こわくなんかない!配達だよ!配達!」
ジョニーはドキドキしながら言いました。
「了解。今ロッティがどのあたりにいるか調べるね。」
シーは口を閉じて静かになりました。テレパシーを使い、いろんな町にいる仲間にロッティがどこにいるか聞いているのです。
「見つけた。だいぶ遠い所にいるなぁ。どうする?家に来てもらう?」
シーは力を抜いてジョニーに聞きました。
「うん。急がなくていいから俺の家に来いって言ってくれ。」
「了解。」
また口をとじて静かになるシー。ジョニーもなんだか動いてはいけないような気持ちになります。
「仲間に伝えたよ。」
「ありがとう。」
「いいえ。いつでもどうぞー。」
と言ったかと思うとシーはグルングルンとまわりだし、上の枝の方へ飛び、そのまた上の枝へ飛び、さっきの場所まですぐに戻ってしまいました。
「シーは足がないのに素早いなぁ。」
ジョニーはまだ少しドキドキしながら家に戻りました。

そして次の日の朝。

ドンドンドンドン!
ドドンドンドン!

またか…。
ジョニーはまたこんな朝早くに来るとは思わず、眠たそうに手紙をテーブルから取り、玄関へ向かいました。
「おはようっ!お届け物かい?」
ロッティの大きな声が頭に響きます。
「もう少し声を小さくしてくれよ。朝からなんでそんなに元気なんだ。」
ロッティは笑いながら
「僕はめったに寝ないから朝も夜も関係ないもん。」
ジョニーは手紙を渡します。
「誰に届ける?どこでも大丈夫だよ!」
とロッティが手紙を見ると“ロッティへ”と書いてあります。
「僕にだ!僕にだろ!」
大きな声で大騒ぎしてその場で手紙を開けだしました。その手紙を読んで一言。
「ありがとう!!じゃぁまたね!」
とすぐに走り出してしまったのです。
ジョニーはびっくり。その場で読んだのに何も言わないで行ってしまうなんて。
なんだかよくわからないまま、ジョニーはプレッチェロを起こして子供たちの集まり(学校のようなところ)へ連れていきました。

その帰り道、のんびりゆっくり歩いていると、飛ばされるんじゃないかと思うほどの、ものすごい風が吹きました。
驚いて何が起きたのかときょろきょろしていると
猛スピードでロッティが走っているのが見えました。あの風はロッティが近くを走った風だったのです。
「ロッティ。」
とジョニーが声を出した途端、急ブレーキをかけるように止まり、戻ってきました。
「ジョニーー!」
ロッティはいつもの大きなジャンプではなく、小さく普通に走ってきました。
「お届け物だよ!」
ニコニコしながらロッティは手紙を出しました。
そして
「工場ボクも手伝うよ!それとまた手紙を頂戴ね。いつも運ぶ立場だからすっごく嬉しかったんだ!じゃぁね!」
と言ったらすぐに走り出していなくなってしまいました。
ジョニはーはちょっと皺の寄った手紙を開けました。
そこには“工場ボクも手伝うよ。ロッティより”と書いてありました。
「今、聞いたな。なんで手紙に書いたこと先に言っちゃうんだ。」
ジョニーは笑いながら手紙をしまい、よかった、ダメかと思った。とホッとしながら家に帰りました。