Monster Factory 『すべてのはじまり』
プレッチェロの病気
ある日、ジョニーは必至で探し物をしていました。
それは、綺麗なピンクとオレンジの花のトゲトゲした実です。
いつもはあちらこちらで咲いていて実もついているのに
今日に限ってどこにも咲いていません。
「どうしよう。」
ジョニーは一生懸命探していました。
「どうしよう。プレッチェロの熱があがっちゃう。」
昨日の夜から熱をだし、どうしたらいいかわからずトニーを呼んできました。
トニーにもプレッチェロくらいの男の子がいて、子供の病気には詳しいのです。
トニーは濡らすと冷たいゼリー状になる葉っぱを持ってきて、プレッチェロの頭の下に入れました。
ジョニーは「大丈夫か?大丈夫か?」とあたふたしています。
「ジョニー、そんなに焦らなくても大丈夫だよ!!小さい子はよく熱を出すし、そんなに高くないよ。
心配ならあのトゲトゲした実を取ってきてスープにするといい。熱がすぐに下がるんだ。」
トニーは真っ赤なほっぺのプレッチェロの頭をなでながら言いました。
ジョニーは「あの変なやつか!取ってくる!」とプレッチェロをトニーに預けて家を出たのです。
「ない。」
ジョニーは下を向いて探していたのでわかりませんでしたがププルが前から歩いてきていました。
「こんにちわ、ジョニー!」
「わ!!」
ププルに突然声をかけられてびっくり。
ジョニーは驚いてドキドキしてしまいました。
「ずぅっと下を見て何をしてるの?」
ププルは頭にのせているりんごを落とさないようにちょっと首をかしげました。
「プレッチェロが熱をだして、とげとげした実を探してるんだ。」
「あ、あの実なら、さっきあっちの紫の森の入り口にあったよ。」
ププルは手を森の方に伸ばしました。
「ありがとう!行ってみるよ!」
ジョニーはププルに手を振りながら走っていきました。
紫の森の入り口につきました。
「このあたりにあるはずなんだ。」
ジョニーはぶつぶつ言いながら下を向いて探しはじめました。
すこしあたりを見回して、岩の周りを歩いたり雑草をかきわけたりしましたが、見つかりません。
ジョニーは下を向いて探していたのでわかりませんでしたがその姿をシーがじっと見ていました。
シーはまったく気づいてもらえないので声をかけることにしました。
「ハーイ!ジョニー!」
「わ!!」
シーに突然声をかけられてびっくり。
ジョニーは驚いてドキドキしてしまいました。
「ずっと下を見て何をしてるの?」
シーは木にぶら下がって揺れながらちょっと首をかしげました。
「プレッチェロが熱をだして、とげとげした実を探してるんだ。」
「あぁ、あの実なら、青い池のそばにあったよ。」
シーは手を青い池の方に伸ばしました。
「ありがとう!行ってみるよ!」
ジョニーはシーに手を振りながら走っていきました。
青い池のそばに来ました。
「ここにある。ここにある。はず。」
ジョニーはやっぱりぶつぶつ言いながら下を向いて探し始めました。
ちょっと湿った草の中を歩いて時々べたべたしたものが足についたりしました。
いくら探してもとげとげした実は見つかりません。
ジョニーは下を向いて探していたのでわかりませんでしたが池の反対側にはミントがいました。
ミントはとっても大きな声で
「ジョニー!何してるのー!!」と叫びました。
「わ!!」
ミントに突然声をかけられてびっくり。
ジョニーは驚いてドキドキしてしまいました。
ミントは小さな羽で水面ギリギリを飛んでジョニーのそばにやってきました。
「ずっと下を見て何をしてるの?」
ミントは透明の触角をプルンを揺らしながらちょっと首をかしげました。
「プレッチェロが熱をだして、とげとげした実を探してるんだ。」
「あ、あの実なら、さっきゴロゴロ岩の間にあったのをみたわよ。」
ミントは手をゴロゴロ岩の方に伸ばしました。
「ありがとう!行ってみるよ!」
ジョニーはミントに手を振りながら走っていきました。
ゴロゴロ岩に来ました。
ちょっと大きなドーナツ型の岩です。
この岩の間とは、真ん中の穴の事だろうと、ジョニーは登り始めました。
「俺も羽があったらいいのにな。」
そんなことをいいながらジョニーは上まで登りました。
そして岩の間を覗くとピンクとオレンジの花がきらりと光りました。
「あった!あった!」
ジョニーは大喜びで穴の中へジャンプしました。
「やった!やった!」
そしてその花を優しく寄せて実を探しました。
しかし、お花はたくさん咲いていても実がなっていないのです。
「そんなぁ」ジョニーはがっかりして座り込みました。
仕方なくジョニーは家に帰ることにしました。
あぁ、熱が下がればプレッチェロも楽になるのにな。
もしかしたら、家に着く途中で見つけるかもしれないと思いながら歩きましたが
結局家に着くまでトゲトゲした実はなかったのです。
ジョニーはがっかりして家のドアを開けました。
「ただいま…」
「おかえりーー!!」
なんとプレッチェロが走ってやってきたのです。
「わ、プレッチェロ!寝てなきゃだめだよ!」
ジョニーはまたあたふたしてプレッチェロをベットに連れて行こうとしました。
すると、台所にププルと、ミントがいることに気づきました。
「ププルとミントがトゲトゲした実を取ってきてくれて、スープにして飲んだよ。」
プレッチェロは金色の毛をふわふわさせて言いました。
「二人ともありがとう!」
ジョニーはププルとミントを抱きしめました。
トニーもにこにこと見ています。
「よくとげとげした実が見つかったな!あんなに探したのになかったんだ!」
ジョニーはテーブルに乗っている実を触りました。
こんなにたくさんあったなんて。
「ジョニーは焦りすぎてちゃんと見てなかったんだよ。ジョニーがいたすぐ後ろに咲いてたよ。だから持ってきたの。」
ププルはくすくすと笑いました。
「私はね、あのあと紫の森でシーにあって、トゲトゲした実をもらったの。ずっと探してくれていたみたいよ。」
ミントはゆらゆらと動きました。
ジョニーはありがとうと何度も何度もいいました。
みんなが帰ってから、ジョニーとトニーとプレッチェロは
残った実を乾燥させて、いつでもみんなに渡せるようにと、窓の近くにつるしました。
これでジョニーも一安心です。