Da.sh Ⅲ
今明良は、俊介、守と、青梅の家の屋根裏部屋の布団の中にいて、過ぎし日のことを思い出していた。太田健一一家に貸している家の、一室である。
明良は、愛車K1600GTの後ろに守を乗せて、時々帰ってくる。
俊介の妹の亜樹は医者として研修中であり、将来は医院を継ぐことを両親は期待している。自分の家にはもう、ほとんど帰ることがない。明良、守と行動をともにすることが多く、太田家の招待を心待ちにして、一緒にバイクを走らせて来るのだ。
明良は、男の集団の中ばかりにいたので女は苦手だが、太田の家族を見ていると、家庭を持つってのもいいかもしれない、と思わないでもない。しかしそれは、もっと先のことだな、とも思う。
――いや、やっぱり、女は面倒くさい。
面倒なことはその元を作らないようにしてきた明良の、いつもたどる、結論である。