流星迷路 第1迷路
俺は美奈が、神崎美奈が大好きだ。理由は色々ありすぎて言い切れない。幼馴染で小中高と一緒だった。高校2年のとき好きだって言ったんだ。美奈は笑顔で「私もだよ」って。天使みたいだった。可愛くてしょうがない。それから俺たちは付き合うようになったんだ。
いっつも「夏也、夏也」って呼んでくれた。いっつも一緒にいた。楽しかった。可愛いし、甘えてきてくれて。大好きだ。
小学生の頃は美奈のこと、ただの友達だと思ってた。なのに、中学生になったとき友達に好きな女子誰だって聞かれて、頭に浮かんだのは美奈だったんだ。美奈は少し天然で、クラスの男子からは不思議ちゃんと思われてたみたいだ。だけど俺は、美奈のそんなところも大好きだった。
中学校生活で美奈と一緒にいることはとても多かった。休み時間、教室移動、体育とかでペアを組むとき。ほとんど一緒だった。小学校のときもそうだったから。小学生の頃は仲がいいで済んでいたのが、それでは済まなくなった。
中学生になっても小学生の時みたいに美奈と一緒に帰っていた。だから噂されるし、冷やかされたりした。その度に俺はやめろよっとか言ってた。内心はとっても嬉しかったし気恥ずかしかったけど。美奈は顔を赤くして恥ずかしがってた。
中学3年のとき、高校の第1希望から第3希望までを書いて先生に提出しなきゃいけなかった。何気なく俺は
「美奈、お前はどこ行くの?」
って聞いたんだ。
「んー、夏也はどこ行くの?」
美奈は逆に聞き返してきた。この時に天然だなって若干思った。
「俺が聞いてるんだけど・・・。俺は東かな」
「じゃあみなも東にする」
俺が言ったとこにした。行く気、無かっただろうに。
「そんな決め方でいいのか? おばさんにはなんて言うんだよ」
「夏也と同じとこって言えば、ママも安心するよ」
何となく、嬉しかった。おばさんに認められてるって感じがして・・・。
「そっか。じゃあ東って書けよ」
多分、俺は耳が赤かっただろうな、この時。
「うん」
美奈は、俺のこと好きなんじゃないかって錯覚させるほどの笑顔で言ったんだ
美奈と俺は無事に受かった。
高校3年生になって、大学受験の時期になった。
「なーつや! お前どこ行くの?」
「国立かなあ・・・」
話しかけてきたのは親友の楼汰。高校生になってから初めてできた友達だ。
「お前頭いいもんな。国立か・・・」
「楼汰はどこ行くんだよ」
「俺? 決めてなーい」
いっつも陽気で成績は中の下。
「でも、神崎って女子校行くんだってな」
「美奈が? そんなの初めて知ったぞ」
「・・・。俺は普通に聞いたけど・・・」
美奈は俺に隠し事なんてしなかったのに。今までなかっただけに驚いた。
「美奈が、言ってたのか?」
「うん。神崎本人が」
「俺にはまだ決めてないって・・・」
「きっと、夏也に決めてないって言った後に決めたんだよ。女子校に」
「そ、そうだよな」
いや、絶対に違う。美奈は俺に大学を聞いてきた。国立と知って焦っていたけど、夏也と同じところがいいなって言ってた。それなのに女子校を選ぶのはおかしい。せめてランクが近い共学にするはずだ。
「美奈、最近急に女子校にするって言い出したんだよね」
そう言ったのは美奈の親友、秀歌。
「七瀬、そうなのか?」
「美奈、昔は夏也の大学に合わせるって言ってたんだけど・・・。最近になって言い始めた。あと、カラオケとかに誘っても来なくなったなぁ」
「神崎、やっぱり国立諦めてないんじゃないのか? だから誘いも断って勉強してるんじゃないのか?」
「んー、それもあるかもしれないけど・・・。先生にも女子校って言ってたし」
美奈は何で女子校にしたんだ?俺と会うのが嫌だから?あの笑顔は嘘だったのか?いや、美奈に限ってそんなことは・・・。
美奈は何を考えて女子校にしたんだろう。どんだけ考えても、俺には美奈の考えはわからない。何しろ天然だから。早く美奈に会って話がしたかった。
「私、美奈のこと呼んでこようか?」
「頼む。ありがとな」
「親友の彼氏の頼みだよ? 快く引き受けてあげるよ」
七瀬に美奈を呼んできてもらった。美奈はいつものように振舞っていて何も変わらなかった。
「夏也がみなのこと呼んだのー?」
「そうだよ」
「みなになんか用事? それともみな・・・なんか約束忘れてた?」
何も知らないようだった。俺に呼ばれた理由もわからないみたいだった。
「神崎、お前どこに行くんだ?」
楼汰が聞いた。いつものような明るい声で。
「あれ? 境くんにみな言わなかったっけ? 付属の女子校だよー」
「そうだっけ? 俺忘れっぽいからさ」
楼汰は笑っていた。笑ってくれた。美奈の口から女子校という言葉が出た。本当に女子校に行くのか?
「美奈、何で女子校なんだ? 国立じゃねえのか?」
「夏也と同じところがいいけど・・・。みなの成績じゃ難しいって先生が・・・」
「そういうこと。だから成績が発表された辺りから女子校に行くって言い出したのね」
「本当に、理由はそれだけか? 他に理由があるんじゃないのか?」
俺は必死だった。美奈に嫌われたら俺は生きていけない。別れようなんて言われたら・・・。
「それだけだよー。夏也と・・・同じところが・・・よかったよ・・・」
美奈は本当に悲しそうだった。
「そっか・・・」
「お前、神崎に嫌われたとか思ってたろ」
図星。
「みなが夏也を嫌いになるわけないでしょー」
美奈の笑顔がとっても眩しくて・・・。嫌われたなんて考えた自分が恥ずかしかった。
いっつも「夏也、夏也」って呼んでくれた。いっつも一緒にいた。楽しかった。可愛いし、甘えてきてくれて。大好きだ。
小学生の頃は美奈のこと、ただの友達だと思ってた。なのに、中学生になったとき友達に好きな女子誰だって聞かれて、頭に浮かんだのは美奈だったんだ。美奈は少し天然で、クラスの男子からは不思議ちゃんと思われてたみたいだ。だけど俺は、美奈のそんなところも大好きだった。
中学校生活で美奈と一緒にいることはとても多かった。休み時間、教室移動、体育とかでペアを組むとき。ほとんど一緒だった。小学校のときもそうだったから。小学生の頃は仲がいいで済んでいたのが、それでは済まなくなった。
中学生になっても小学生の時みたいに美奈と一緒に帰っていた。だから噂されるし、冷やかされたりした。その度に俺はやめろよっとか言ってた。内心はとっても嬉しかったし気恥ずかしかったけど。美奈は顔を赤くして恥ずかしがってた。
中学3年のとき、高校の第1希望から第3希望までを書いて先生に提出しなきゃいけなかった。何気なく俺は
「美奈、お前はどこ行くの?」
って聞いたんだ。
「んー、夏也はどこ行くの?」
美奈は逆に聞き返してきた。この時に天然だなって若干思った。
「俺が聞いてるんだけど・・・。俺は東かな」
「じゃあみなも東にする」
俺が言ったとこにした。行く気、無かっただろうに。
「そんな決め方でいいのか? おばさんにはなんて言うんだよ」
「夏也と同じとこって言えば、ママも安心するよ」
何となく、嬉しかった。おばさんに認められてるって感じがして・・・。
「そっか。じゃあ東って書けよ」
多分、俺は耳が赤かっただろうな、この時。
「うん」
美奈は、俺のこと好きなんじゃないかって錯覚させるほどの笑顔で言ったんだ
美奈と俺は無事に受かった。
高校3年生になって、大学受験の時期になった。
「なーつや! お前どこ行くの?」
「国立かなあ・・・」
話しかけてきたのは親友の楼汰。高校生になってから初めてできた友達だ。
「お前頭いいもんな。国立か・・・」
「楼汰はどこ行くんだよ」
「俺? 決めてなーい」
いっつも陽気で成績は中の下。
「でも、神崎って女子校行くんだってな」
「美奈が? そんなの初めて知ったぞ」
「・・・。俺は普通に聞いたけど・・・」
美奈は俺に隠し事なんてしなかったのに。今までなかっただけに驚いた。
「美奈が、言ってたのか?」
「うん。神崎本人が」
「俺にはまだ決めてないって・・・」
「きっと、夏也に決めてないって言った後に決めたんだよ。女子校に」
「そ、そうだよな」
いや、絶対に違う。美奈は俺に大学を聞いてきた。国立と知って焦っていたけど、夏也と同じところがいいなって言ってた。それなのに女子校を選ぶのはおかしい。せめてランクが近い共学にするはずだ。
「美奈、最近急に女子校にするって言い出したんだよね」
そう言ったのは美奈の親友、秀歌。
「七瀬、そうなのか?」
「美奈、昔は夏也の大学に合わせるって言ってたんだけど・・・。最近になって言い始めた。あと、カラオケとかに誘っても来なくなったなぁ」
「神崎、やっぱり国立諦めてないんじゃないのか? だから誘いも断って勉強してるんじゃないのか?」
「んー、それもあるかもしれないけど・・・。先生にも女子校って言ってたし」
美奈は何で女子校にしたんだ?俺と会うのが嫌だから?あの笑顔は嘘だったのか?いや、美奈に限ってそんなことは・・・。
美奈は何を考えて女子校にしたんだろう。どんだけ考えても、俺には美奈の考えはわからない。何しろ天然だから。早く美奈に会って話がしたかった。
「私、美奈のこと呼んでこようか?」
「頼む。ありがとな」
「親友の彼氏の頼みだよ? 快く引き受けてあげるよ」
七瀬に美奈を呼んできてもらった。美奈はいつものように振舞っていて何も変わらなかった。
「夏也がみなのこと呼んだのー?」
「そうだよ」
「みなになんか用事? それともみな・・・なんか約束忘れてた?」
何も知らないようだった。俺に呼ばれた理由もわからないみたいだった。
「神崎、お前どこに行くんだ?」
楼汰が聞いた。いつものような明るい声で。
「あれ? 境くんにみな言わなかったっけ? 付属の女子校だよー」
「そうだっけ? 俺忘れっぽいからさ」
楼汰は笑っていた。笑ってくれた。美奈の口から女子校という言葉が出た。本当に女子校に行くのか?
「美奈、何で女子校なんだ? 国立じゃねえのか?」
「夏也と同じところがいいけど・・・。みなの成績じゃ難しいって先生が・・・」
「そういうこと。だから成績が発表された辺りから女子校に行くって言い出したのね」
「本当に、理由はそれだけか? 他に理由があるんじゃないのか?」
俺は必死だった。美奈に嫌われたら俺は生きていけない。別れようなんて言われたら・・・。
「それだけだよー。夏也と・・・同じところが・・・よかったよ・・・」
美奈は本当に悲しそうだった。
「そっか・・・」
「お前、神崎に嫌われたとか思ってたろ」
図星。
「みなが夏也を嫌いになるわけないでしょー」
美奈の笑顔がとっても眩しくて・・・。嫌われたなんて考えた自分が恥ずかしかった。