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秋月かのん
秋月かのん
novelistID. 50298
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Wish プロローグ

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「って、こんなことしてる場合じゃねぇ早く行こうぜ。このままじゃ遅刻しちまう」

せっかくここまで走ってきたんだ。このままその努力を水の泡にしてたまるか。

「おう。じゃ、急ごうぜ。かえで、行くぞ」

「あ~待ってよ、今~行く~」

いつもみたくかえでは面倒くさそうに手をブラブラとさせながら走ってくる。

「おら~暁、ボーっと突っ立ってねーではよ来い。お前だけ置いてくぞ~」

「あたし、待ってんのダルいから早く行こ~。早く学校で寝たい~」

「だな~あんな妄想魔人なんかほっといてとっと行こうぜ」

「同感だな。妄想乙なんかに構ってる暇なんかないしな。行こうぜ」

「こんらああぁぁああッ!誰が妄想乙だ!お前らあぁぁあああッ!!俺への扱いがひどいんじゃないか?愛が足らんぞッ!!『愛』がッ!!!」

「………。じゃ、馬鹿はほっといてさっさと行こうぜ」

お前のために割く愛なんぞねぇ。

「おい待て、さっきのは冗談だから置いてかないでくれええぇぇえええッ!!!カムバァアアアァァアックッ!!!!」





学園に着くと、ちょうどHRの予鈴を告げるチャイムが鳴り響いていた。
そして、風紀委員によって門が閉ざされようとされていた。

「ま、間に合え、間に合えぇえええええッ!!」

これでもかってくらいの全速力で風紀委員のいる門まで一気に駆け抜けた。

「っしゃ!セーフ!間に合ったぜ」

「でも、何でいつもより門が閉まるのが早まったんだ?嫌がらせか?」

確かにそういえばそんな気が……。

「どうだろうな??風紀委員でまた何か遅刻者対策とかしてるんじゃねーか?」

「かもな。ったくまったく迷惑な話だよな~。どう見ても新手の嫌がらせにしか思えんのはあたしだけ?」

「そんなことはないさ。俺もそれには同感だ。かえでもそうだろ?」

「ん~そうだね。……んじゃ、たくさん運動したことだし帰ろうか?」

「おいコラ、ちょっと待て!お前はただ単に家に帰りたいだけだろうが!」

さっすがぐーたらを極限に極めたお方は一味違うな。
まぁ、俺も人の事は言えないけどな。
でも、念のために敢えて言おう。俺はぐーたらだがここまでひどくはない。
…断じてな。

「だって~早く今日発売のゲームとコミック買いたいんだもん」

おいおい、もうちょっとしっかりしてくれよ。ゲーム&コミックと学園を天秤にかける
なよ。俺でもそれぐらいは理解できてるぜ。えーと、そうだな…俺はもち睡眠だな。
学園を選ぶなんて考えなどさらさらないね、俺は。…みんなもそうだよな?

俺がかえでにやれやれと肩をすくませていると、後ろから、

「おいお前ら、早く行かないと遅刻するぞ」

「おー暁、何だ、いたのか」

「って、さっきからずっといたわー!お前の目は節穴かああぁぁあああぁッ!?」

「…スマン、いること自体忘れてたわ」

わざとでも何でもなくマジで忘れちまっていた。悪いな、暁。

「ひどっ!!お前は俺にもっとやさしくするべきだッ!」

「あーはいはい。まぁ、それはいいとして早く行こうぜ」

「よくねーってッ!!おのれ~いいか、お前らには俺が直々に説教してやる」

「あーもうッ!!うるっさいな……かえで、…殺れッ!」

「ギャラは弾んでよ!!くらえっ!!マグナム・ラッシュ・ザ・インパクト!!」

かえでの拳が光だし、それはまるで必殺技を発動させるための溜めに入ったようだった。
…って、何だ?そのセンスのない技のネーミングはよ。もっとマシなものをだな…。
そんなことを考えている間にかえでが次のシークエンスに移行したようだった。

「はぁっ!」

かえではその拳を振るうと、一瞬だけ無数の拳の残像が見えた。
……気がした。

「ふがぁッ!!…んげッ!!!…あがぁッ!?!?…えばぁッ?!?!?…うぼわぁぁあああぁぁああああ~ッ!!!」

かえでの不可思議な攻撃を見事にくらった暁は、そのまま学園の門までぶっ飛んでいき、轟音が耳の奥まで響き渡った瞬間、門に勢いよく激突した暁によって閉ざされていた門が見事に外れた。てか壊れた??

「あは☆サンキュー♪♪かえで、これでやっと静かになったぜ」

「いや、静かになったのはいいが…もっと他にやり方あっただろ…」

「えへへ☆」

にこっと舌をちろっと出し微笑むかえで。その表情はまるで悪戯小僧が悪戯がバレて思わず出来心でって言わんばかりの仕草を想像させるものだった。

「笑って誤魔化すな」

「ん~、まぁそれは結果オーライってことで☆」

「そういう問題なのか?」

「まっ、いいじゃん♪これで静かになったわけだし、よしとしようじゃないか。それとも何ぃ?あのまま暁の説教を聞きたかったのかな~春斗くん」

茜は、ニヤリと笑っていた。

「確かにそれは勘弁だな」

「だろ☆」

「が…ぁ…はぁ…か…かえで…お前は…やがて…いつか…世界を…ぐはぁぁっ…」

暁は、何だか意味不明なことを呟きながらガクッとおちていった。…哀れだ。

「とにかく教室まで急ごうぜ、あと5分しかないし」

「ん~そうだね。せんせーに怒られたくないし~」

「それはそうだけどな。暁はどうするよ?完全に気絶してるぜ」

「まぁほっといても大丈夫だろ。暁はそんなやわじゃないって、馬鹿だし」

「うん、暁はこれぐらいじゃくたばらないよ☆」

暁……哀れだな。
今になってお前の言葉が身に染めてよくわかる気がするぜ。
……しょーがねーな。
俺は、暁を背負って、それから保健室にこいつを預けて教室に向かうのだった。



次回へ続くage能畴湲愨
作品名:Wish プロローグ 作家名:秋月かのん