ゾディアック 4
「 女神の神秘? 私とマリオンは この島の観音寺院で不思議な体験をしました 」ナアナが言った。
「 あそこの観音は、この島のご神体だからね 」オヤジが言った。
「 じゃあ、あの観音様はこの島の女神様なんですね? 私は子供の頃から、いつもあそこで遊んでました 」コミュウが言った。
「 あなたは、この島のご出身なんですか。では いつも女神に護られていますね 」
オヤジは優しく言うとそっと コミュウの手に触れた。コミュウはうっとりしていた・・
「 この世界は、外刺激からでしか分からない 五感に閉じ込められた意識の闇の世界です。
観音とは、振動を音と認識する究極のリアリティ・・ 」オヤジの言葉に 私は愕然とした。
この言葉は・・ 闇の戒壇で聞こえて来た 天使が言った言葉だ。
やはりこのオヤジは、女神の遣いなのか・・ 私は思った。
「 皆さん、観音は女神と思いますか? 」オヤジが聞いた。
「 女神様じゃないんですか? だってさっき、島のご神体だって・・ 」コミュウが言った。
「 感じる私達の内宇宙、状態次元の世界の事だよ 」私が言った。
「 音は、五感では 空気や水や耳の鼓膜や あらゆる振動の媒体を使ってでしか認識できない。
でも全ての物は、このカップも・・ 」私はコーヒーカップを手に取った。
「 全ての存在は、自ら振動する内宇宙を持ってるんだよ 」
「 観音とは 感じる私達の内なる宇宙・・ 律動する状態次元の世界の事です。
相対の闇。状態の光。観音は 不可視を進む私達を見守っています 」オヤジは言った。
「 私達が本当に存在する場所・・ そこでは天使界と繋がっています 」
オヤジの言葉は全て、以前 天使から聞いた言葉だった・・ 呆然とする私に、オヤジはウインクして言った。
「 意識が邪魔をしなければ・・ ね? 」ゾッとした。
見ようとしてはいけない・・
顕在はひとつの魔法 目に映るものは幻。どんなに姿を変えても、大切なものがそこに隠されている
「 オヤジを無視して・・ ウリエルを感じろという訳か・・ 概念に摑まらずに。 至難の技だ 」私は窓の外を眺めた。
カラスが一羽、木に留まって鳴いていた。