そらのわすれもの4
受け取る側の問題だ
放課後、夕暮れ時。
旧校舎。
事態はどうしようもない方へと向かっていた。
「ほっといてよ!助けようとか思い違いをしないで!助けられる程、私はかわいそうじゃない!」
廊下に隣接した階段で知秋は仁王立ちをし、優太を睨み付けていた。
今の知秋は、およそ人間とは言いづらい姿になっていた。
彼女の感情を表したような真っ赤な髪が乱雑に跳ね、乱れている。光を映すような大きくて金色の瞳は刺すように優太をキツく威嚇をした。背中には小さな鳥のような翼があり、シャツを破り、顔を覗かせている。不思議と美しい外観とは裏腹に、持ち主の表情は醜く歪んでいる。
知秋は、泣きたかった。
こんな姿見られたくなかった。
自分自身も見たくなかった。
出来れば、こんな姿が本性な事は忘れてしまいたかった。
今にもショックで体が崩れ落ちてしまいそうになってしまう。それに負けないように精一杯脚を踏ん張る。
これ以上はもう怖い思いをしたくない。
これ以上怖い思いをしたら壊れてしまう。
知秋は、いつもぎりぎりのところで一生懸命自分を保っていた。
でも、幾ら頑張っても、彼女の望む物はどうしても手に入らない。
5年前のショックは今でも続いている。
幼い頃の宿題は残されたまま、きっと永遠に終わらせることが出来ないのだろう。