冥帝の万華鏡
半分分かりきっていたことであったが実際言われてみると結構来るものがある。今まで掃除をサボっていた自業自得とも言えるが、俺だってちゃんと年末の大掃除はしっかりとやっている。普段使わないから、この汚れは仕方が無いのだ。
しかし、こう、女の子に語尾にハートマークでも付きそうなイントネーションで物を言われると、断りづらさを感じるのと同時に、言い知れない腹立たしさが沸いてくる。そういえば彼女、掃除はするって言ってなかったか。
とか考えているうちにすでにその場に彼女の姿は無く、今のほうからさっきとは違う番組の音が響いている。少し顔を出して覗いてみれば三門が食い入るように画面を見つめていた。番組の内容は料理番組みたいだ。風呂の掃除の方は、もう完全にやる気は無いようだ。なんだか悲しくなってきた。
結局一人で風呂を掃除した俺は、洗剤を洗い流し、もののついでにシャワーも浴びた。タオル等は、二日分を今日使ってしまって、明日買いに行けば良い。ほかの事は、明日買い物がてら決めれば良い。そう決め、彼女にお風呂を勧めた後、俺は適当なタオルを床に敷いて部屋の隅で先に寝ることにした。布団は、女の子に譲るべきだろう。
いい加減疲れていたのか、俺の意識はタオルに包まれ、ものの数秒で深い眠りに誘われていった。