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犬を愛した女

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 「この頃、我が侭な女が増えましたな。男はいらん、子供も欲しゅうない、えらい時代ですわ。子供を生めるのは有り難いことやから、私らは男はいらんでも子供は欲しいと思うたもんです。それが子供は邪魔くさい、ペットでエエという女がいっぱいですわ。この界隈も結婚せん若い者、子供をつくらん夫婦が増えました。世も末でんな~」
 「そうそう、A子さんもヒョウみたいな犬を飼ってはります。シュン、シュンいうてえらい可愛がりようですわ。」
 シュン!それって犬の名前?
 以前、A子は主人をシュンといい、ピューマみたいだといった。それを老婆はA子の可愛がるヒョウみたいな犬のことだという。いつだったか、女はワンちゃんのためなら何でもする、Kと寝たのもセフレになったのも犬のためだとうそぶいたことがある。
 昼下がりの照り返す道路を陰嚢をぶら下げた犬がトボトボ横切っていった。・・もしかして、犬が裸のA子を傷つけたとしたら。

       了
作品名:犬を愛した女 作家名:カンノ