小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

雨の中に甘い飴

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
1人の学ラン来てる青年が背中にリュック、片手をポッケにもう1つの片手は傘を持ち、顔は傘で隠れて口はマフラーで隠れ、青年は誰もいない道を1人歩いてく。
静かな道、聞こえる音は青年が歩くたびに聞こえる「ヒタ・・・ヒタ」という音と雨が傘に当たる音。
途端に青年の歩く音が止む。青年は路上に会った段ボール箱を見、それに近づいてく。
青年が段ボール箱を覗くと、1匹のネコがいた。まだ生後3カ月だろうか。三毛猫だが、泥で汚れて殆ど黒に近い。
その三毛猫は寝ているのか、死んでるのかわからない。青年はそれを確かめるべく、三毛猫をゆすってみる。
するとその猫は力なく立ち上がり、青年とは逆方向に弱々しく歩き始める。
青年は黙ってそれを見ていたが、その猫が段ボールから出ようと必死にジャンプしてる姿を見て、青年はポッケに入れていた手を取り出し、その猫を持ち上げる。
「痛っ」
ネコは青年の手を噛み、「ふー!」と威嚇する。
「別にいじめようとしたわけじゃねぇよ」
意味が通じないことが分かりながらも話しかける青年。
だが、ネコは威嚇し続ける。それを見た青年は立ち上がり、その場を去っていく。
と、後ろから「ドサッ」と倒れる音が聞こえた。
青年は振り返り、またあの段ボールに近づくとその親猫らしき猫が段ボールの中で倒れていた。その隣でさっきの猫がずっと「にゃー、にゃー」と鳴き続けている。
青年はしゃがみこみ、リュックの中から、学校から持ってきたパンを千切って、親猫に渡そうとする。が、その親猫は動かず、その場に倒れこんでいる。青年が口にパンを「つんつん」と口に入れようとしても動かない。
「にゃー」
猫が青年の目を何かを訴えかけるようにじっと見つめる。
「残念だけどもう死んでるよ」
猫はもう一回鳴く。青年はその猫が鳴いてる姿がまるで人間と同じように泣いてる姿に見えた。
「お前の母ちゃんか?」
青年がさっき千切ったパンをその猫に渡す。
猫はそのパンを食べ始め、青年は黙って見続ける。

作品名:雨の中に甘い飴 作家名:DG4