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櫻井なつみ
櫻井なつみ
novelistID. 49754
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なにも聞こえない

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「あの…」
「…」
「君、名前は?俺は朝倉…」
「…言わなきゃいけないの?」
「…」
彼はそのまま図書室を出て行っていまった。

…気になってるわけじゃない、けど…

彼はいつも一人で図書室に来ている。
とくに本を読むわけでもなく、ただボーっとしている。
俺は図書委員で、よく見かけるんだけど…
「…失敗だな」
今日こそは、聞こうと思ったのに…
「あ、やっぱりここにいた」
「…美穂、どうした?」
「たまには一緒に帰ろうかなって」
「そっか…」
彼女は、花本美穂。高2の時から付き合っている子だ。
名前の印象のとおり可愛いが、それ以上に心がきれいだ。

彼女を送ってから、自分の家に向かった。
…と、家の前に見覚えのある人が…
「きっ、君…なにしてるの?」
「…これ」
それは、昨日なくした俺のボールペンだった。
「これのためにわざわざ?」
「…僕、一ノ瀬誠です。よろしくお願いします」
「…ふーん、誠くん、か。よろしく…おねがいします」
「…僕の名前、めずらしいですか?」
「いっいや…ようやく、知れたなと思って」
「ああ、そういえば、名前聞いてましたね。知りたかったんですか?」
「ち…ちがうよ…」
「…そうですか、僕、そろそろ帰ります」
「まっ…まって!」
「なんですか」
「いや…えっと…。いい、名前だね」
「…先輩も、漢字は一緒じゃないですか」
「えっ…」
「…なんでもありません。さようなら」
ほかにもききたいことはたくさんあったが、彼はとっとと帰ってしまった。

作品名:なにも聞こえない 作家名:櫻井なつみ