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学校外恋愛。

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6時間目。本日金曜日は歴史だ。
「えーこの時、徳川家康によって、江戸は…」
ちょっと頭の薄いおじいさん先生の静かな声が教室に響き渡る。
ノートに江戸時代、と板書している私の元に1枚の紙が置かれた。
『三笠へ』
と書かれているし、右隣りの柏木君はなんだかもじもじしているし、きっと柏木君が机に置いたのだろう。
シャーペンを置いた私は先生に見つからないように、こっそりとメモを開いた。
『今日の放課後、4時に食堂で待ってて欲しい。』
と、書かれていた。
『了解』
と返事を書いて、柏木君の机にこそっとメモを置いた。
メモに気付いた柏木君は、私の返事を見ると、私を見てにっこり笑った。
そこで6時間目終了のチャイムが鳴った。
「起立、ありがとうございました」
学級総務の挨拶で今日の授業も無事終了。
「ねーねー、結局警報出なかったね」
6時間目が終わると、掃除が始まるので舞由が机に椅子を乗せながら笑った。
「そういえばそうだった…!もう忘れてたよ」
完全に忘れていた私は苦笑いで返す。
「っつーか、昼休憩の時点で既に注意報解除だったらしいぜ?」
柏木君が話に参加して来た。
あの時、私を見つめながら話していたように感じたのは気のせいだったのだろうか。

帰り道。
舞由は英語の再テストがあると言って現在居残り中だ。
あの後、ホームルームがあって約束通り4時に勉強する生徒で賑わう食堂で待っていたのだけど、柏木君は
「あのさ…えと…悪りぃ、また今度話すわ。今はまだ言えない。」
と言って、結局何も言われなかった。
そんなこんなで私は今、学校から近い駅で帰りの電車を待っている。
『まもなく2番ホームに電車が参ります。白線の内側までお下がり下さい。』
軽快な音楽と共に、電車が来た。
プシューと扉が開き、私は1両目のドア付近の座席に腰掛けた。
ちなみに、私の普段乗るのはボックス席では無くて長椅子タイプの電車だ。
この駅は、県の中心となる駅なので、夕方の帰宅ラッシュだということ以上に人がとにかく多い。
車内を吹き抜けていく11月の肌寒い風も、人々が集まることで生温く感じた。
椅子に座り、何と無く目をつぶった私は電車が走り出すと共に意図も簡単に眠りの世界へと落ちてしまったのだった。
作品名:学校外恋愛。 作家名:爽子