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【創作】汝は人狼なりや?【NL】

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街道を封鎖していた警官の姿はない。ディルは急いで町へと向かい、駅の窓口へたどり着いた。
退屈そうな係員に、まだ事件のニュースは届いていないのだと安堵しつつ、行き先を告げる。

「一枚で?」
「ああ」
「いえ、二枚です」

後ろから割り込んできた声に、ディルは驚いて振り返った。ローズが不機嫌そうな顔で、髪を撫でつけている。

「馬を飛ばしてきたから、髪がぐちゃぐちゃだわ」
「えっ・・・・・・なっ・・・・・・どうして・・・・・・」
「自分の妻を忘れていくなんて、本当にどうしようもない人ね。ああ、ありがとう」
「どういたしまして、奥様」

係員から切符を二枚受け取ると、ローズはディルの腕をとってホームに連れていく。

「どうしてかって? 貴方は私を助けてくれたから、今度は私が貴方を助ける番。夫婦は助け合うものだわ。そうでしょう?」
「でも」

振り返ったローズの笑顔がくしゃっと崩れ、泣き顔に変わった。

「だから・・・・・・私を置いていかないで、ディル。貴方が側にいてくれないと、私は立っていることも出来ない。貴方を愛しているの」

ホームのざわめきと、ローズの泣き顔が、どこか遠い世界の出来事のようで。ディルが言葉に詰まって立ち尽くしていたら、

『もういいよ、ディル。幸せになってね』

耳元で、姉の声がする。そして、遠ざかっていく気配。

姉さん・・・・・・!

その声に背中を押されたディルは、ローズを抱き締め、言った。

「俺も同じだ、ローズ。君を愛してる」



終わり