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【創作】汝は人狼なりや?【NL】

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「汝は人狼なりや?」



人喰い狼 やってきた
月夜の晩に やってきた

大きな口で 子供を食べて
鋭い牙で 大人を食べて

人喰い狼 捕まった
罠にかかって 捕まった

人喰い狼 木に吊せ
首に縄つけ 腹に石詰め

そして最後に 皮を剥げ!




『ディル? ディル、どこにいるの?』

ここだよ、母さん

『ディル、こっちを手伝っておくれ』

分かったよ、父さん

『ディル! またあんたがやったんでしょ!』

違うよ、姉さん

『二人とも、喧嘩しないの』
『全く、お前達は仲良く出来ないのか?』
『あたしじゃないもん! ディルが悪いんだよ!』

それは違うと言いかけた瞬間、辺り一面が真紅に染まる。
罵声と怒号、金属のぶつかり合う音が響く中、手に刃物を持った村人達と、縄で首を絞められた母と、腹を切り裂かれた父と、

両手を広げて立つ、姉の背中。

『ディル! 逃げなさい!!』



「姉さん!」

自分の叫び声に、ディルは飛び起きた。暗闇の中、ぎしりとベッドが軋む。

「あっ・・・・・・」

それが夢だと理解するのに、しばらくかかった。
全身にかいた汗が、体の熱を奪っていく。荒い息を吐きながら体を起こし、ディルは目を見開いて、闇を凝視していた。
この十五年、繰り返し見る悪夢。
けれど、それはただの夢ではなくて。

「父さん・・・・・・母さん・・・・・・」

掠れた声で呟きながら、ぼろぼろと涙をこぼす。

「姉さん・・・・・・」

ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
俺のせいで
俺に掛けられた、呪いのせいで

「ごめんなさい・・・・・・ごめっ・・・・・・ごめん・・・・・・な・・・・・・さ・・・・・・」

両手で顔を覆い、体を折り曲げてすすり泣いた。