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ウエストテンプル
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機体むすめ 2

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「だって、ゴーグル無し視点だとそこにちょうどエンブレムがきているから汚れていないか見ているだけだよ。」
「そうなの?飛行機の姿は自分だとわからないから言われて初めて知ったよ。」

なんとか話を逸らしたところで、体育座りをする機体娘の手の平の上に乗る。
「じゃ、口を開けて。」
「はい。」
機体娘は天王洲イルアに言われるまま口を開け、彼を乗せている手を近付ける。
「じゃあ、いくよ、機内清掃。」
「お願いします。」
「こら!口は開けたままにしておけ!!」
「あ!」
機体娘は(ごめんなさい)と単語を喉の奥で押しとどめて口を大きく開ける。

天王洲イルアは機体娘の口の中を覗きこむ。
人間の女の子そのもの口内が視界いっぱいに広がる。
白い歯に舌、光沢を放つ赤い壁面。
全体的に美しい場所であるが、入ったなら食べられた物と同じ脅威がそこにある。
歯に挟まれれば裁断され舌は蠢く怪物のようだし光沢の正体である唾液は容赦なく体の自由を奪うだろう。

だが、飛びこまない理由が見つからない。
何故ならそこは可愛い女の子の口の中だからだ。
天王洲イルアは機体娘の口の中を器用に動き回り清掃を行う。
口の奥まで行く時は奈落の底に落ちないように注意を払う。
時間にして15分。
機体娘の口の中の清掃は終了した。

「じゃあ、次は靴脱いで。」
「はい。」
機体娘は噴射機能付きの運動靴を脱ぐ。
天王洲イルアはその巨大な靴の中へと入る。
臭さは無い。
穿いているのが航空機であるのにその中は女の子の匂いで満たされている。
洗ったばかりの服の匂いに若干の汗が混じった若い女の子特有の匂い。
「ま、これは中距離の子だからこうなってんだよな。
たまにニオイのきつい国際線の女の子がいるからなぁ。」
口の中とは違い滞りなく靴の中の清掃は終了した。

「よし、これで中は綺麗になったな、そうだ、今日は機体清掃の日だよ。」
「ほんと!!やったぁ!!!」

彼の認識だと機体娘は水着姿だ。
高圧洗浄ホースによる機体清掃には滞りが無い。
頭から腋、腕、手、胸の谷間、ヘソ、割れ目、ふともも、すね、足の指。
際どい水着のため洗えない場所は無い。
職人気質に念入りに洗っていく。
季節は冬であり寒空の下ではあるが、機体娘は高圧ホースによる洗浄に目を輝かせている。
彼女らの種族に寒さは関係無い。

「ほいっと、これで中も外も綺麗になったよ。」
「ありがとう、これでまた飛べる。」
「ん、でも、燃料無いよ。」
「そうだった。整備場に行かなくちゃ。」
「あー、そうだね、そういえばあそこにも俺みたいなのがいるんだろ?」