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ウエストテンプル
ウエストテンプル
novelistID. 49383
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ナイトメアトゥルー 3

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「残り1年…いえ、ユキちゃんから取り戻した3年を足しても、これからの{ナイトメア}で死を回避したとて余命は4年…。」

三波 ハルカさんは申し訳なさそうに言ったが、こうはっきり言ってくれた方が気楽になることもある。

「寿命を取り戻す術は他に無いのですか?」

三波 ハルカさんは首を横に振る。

「ごめんなさい…。
でも、今、私たちが総力を挙げて取り組んでいるわ。
だから、君は1人じゃない。
私たちがついているわ。」

三波 ハルカさんはじっと俺の目を見てくれた。

「ありがとうございます。
そう言ってくれるだけでも心強いです。
それに、俺ってそんなに寿命が短い気がしないんですよね。」

根拠は無いが自信はあった。
それに、悩んでいただけでは解決しない。
今できることは{ナイトメア}の中でどうやって生き延びるかを考えるだけだ。

鏡が無いのでそれを言った時の顔を確認できなかったが、俺は相当おかしな顔をしていたのであろう。
三波 ハルカさんは吹き出していた。

「うふふふ、おかしくはないわ。
ただね、本当にあの子に似ている、って思っただけ。」

似ているって…誰に似ているんだ?

話は終わったので工藤 ユキのマンションを後にすることにする。
因みに工藤 ユキは俺が退室するまで目を覚まさなかった。

#######################

場面急転。

工藤 ユキが住まわせられている(あいつは自分の家だとか言っていたが、あのマンションはあいつが所属している組織の持ち物であることは容易に察しがつく)マンションから数ランクも格が落ちる、一人暮らし用のアパートに着いたのは昼前だった。

部屋の鍵穴に鍵を差し込む。
鍵を回す。
ガチャと音がした。
ドアを引く。
ドアは動かなかった。
鍵がかかっている?
どうやら今ので鍵をかけてしまったようだ。
鍵をあけたつもりなのに鍵がかかっている。
て、ことは、俺が帰ってくるまで鍵あいてた?

もちろん、きちんと鍵を閉めて工藤 ユキの家へ行った記憶があるので、行きつく結論はただ一つ。

「あぁ〜あ、またあいつか…。」

溜息を混じらせ、もう一度鍵を鍵穴に差し込み、閉じてしまった扉をまた開く。
玄関に入ると途端に酒のニオイが鼻をつく。
そして犯人は部屋の真ん中に鎮座していた。

隣の女子大生、行橋 莉璃。
なんて迷惑な女だ…。
鍵穴が同じだということを良い事に、何か嫌なことがあると俺の部屋で勝手に一人酒を飲みだすのだ。

今日の服も下はホットパンツに上はブラジャーだけである。
なんちゅー格好してるんだよ…。
こっちが恥ずかしくなるっつうの!。
片手には一升瓶、目は確実にすわっている。
ここで引いたら負けだ。

「目、赤ぇし腫れてるし、酒くせぇぞ。」
「あんた、どこ行ってたのよ!」

相当酔ってるな、これ。

「どこでもいいだろ」
あぁ、もう工藤 ユキとか三波 ハルカさんとかミリアから味わった爽快感がどんどん無くなっていくじゃねぇか。
「うるさい!私が振られたってのに、朝帰りしやがって!この不良!」
と叫ぶなり、行橋 莉璃はヘッドパッドをかけてきた。
悔しいが、柔らかい胸が頭を包みこむ。
おかげで、全然痛くない。
「このぉ!このぉ!男なんてみんなこうしてやる」
と、頭をペチペチと叩いてくる。

が、それも全然痛くない。
酒で酔っているから力が入らないのであろう。

だから、ヘッドパッドも簡単に外すことができた、
外すなり弱い力で行橋 莉璃の肩を押す。

酒で重心がしっかりしていないおかげで、ハラリと行橋 莉璃は倒れそのまま仰向けになる。

背後のベッドに着地した行橋 莉璃の姿は、左手が頭の上で右手がへその上にきていた。
(それも、下がホットパンツで上がブラジャーで、だ!)
おかげでどうも扇情的なポーズに見えてしまう。

「あらぁ、伊達っち大胆ねぇ〜、押し倒すなんて、ねぇ、する?」
「するもんか!」
久々に感情のまま怒った。
俺はムードを大事にするほうなの!

「あらぁ〜、やれる時にやらないと損よ、紳士ぶってるといつの間にか魔法使いよ。」
「…そうやって罪の無い人達を貢がせていったのだな。」

「もう、人聞きの悪い。
あれは、勝手に向こうから持ってくるの。」

あぁ、昆虫研究の方、この毒アゲハを研究施設の奥底に標本にしてしまっちゃって下さい…。

「ふ〜ん、じゃあ、叶絵ちゃんとは上手くやってるんだ?」
いつの間にか行橋 莉璃は起き上がりあぐらをかいて座っていた。

「え、追浜がどうしたって?
まぁ、この前はあいつからダンス発表会のチケットをもらったけど…。
最近はそれだけだな。」

(余談だが、我が高校のダンス部の発表会のチケットは高値で取引されているのだ。)

それにしても、何で、こいつもまた追浜のことを聞くんだ?
だけども、それよりも、解決しなければならないことがある。
「てか、こっちが恥ずかしいからこれでも羽織れ!!!」
ほぼ全裸の行橋 莉璃に向かってバスタオルを投げつける。

もったいないなぁ、この残念美人。
下手なグラドルよりも顔が良くスタイルが良いのに…。

こいつは黙っていたり派手な服装さえしなければかなりの美人なのだが…。
ホント、残念な美人である。

三波 ハルカさんの老廃物をどうにか採取してこいつに煎じて飲ませたいほどである。

行橋 莉璃はバスタオルを受け取った直後は少し考えていた風だったが、立ち上がるとすぐにそれを上半身に巻きつけた。

逆効果だったか、こっちの方がエロい。

ホットパンツとブラジャーが隠れてしまったせいでその下に何も着ていないように見えてしまう。

だが、行橋 莉璃はそのままスタスタと玄関へと歩いて行った。
どうやら部屋に帰ってくれるらしい。

しかし、振り向くなり、
「ありがとう。これ借りてくね。今、全部のバスタオル洗濯しちゃって困ってたの。
うん、使ったら洗わないで返すわ。」と言った。

悪魔のような笑顔だった。
そして、また新たに気がついたことが一つ。
「あれ…俺もバスタオル数枚か洗濯してて…確かあれ1枚だけしか…。」
行橋 莉璃、あいつはやっぱり悪魔だった。