覇王伝__蒼剣の舞い1
四国三国が、残り一国・蒼国に目を向ける中、蒼天にカンカンと金属音が響き渡る。
「小僧、本気できな。でないと死ぬぞ」
大柄な男が、身軽に拓海の剣を交わしていく。
さすが“戦場の荒獅子”の異名をもつレオである。
「ああ、見てられないねぇ。無謀と云うか、ねぇ」
「死にゃぁしねぇよ。戦場のレオはあんなモンじゃねぇ」
「その前に、使い物にならなくなるよ。タクちゃんは玄武候補だよ」
だが、彼に止める動きはなかった。
腕を組み、木に寄りかかったまま焔と共に見物に徹している。
「___陛下」
すっと近づいた衛兵に、清雅は視線を向けた。
渡された紙を訝しげに広げ、釘付けになる。
「何って、書いてあるのさ」
「___紅華国精鋭がこっちに向かったそうだ」
「ええええーーーーー!?」
刀身がぶつかる甲高い金属音よりも、焔の絶叫が勝った。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍