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チキンというやまい(更に改題)

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休日になると彼らは様々な場所に出かけた。映画館やコンサートホール、美術館などが殆どだった。夜はレストランなどで食事をし、居酒屋で酒を飲むことも少なくなかった。しかし、店から出ると、可奈は絶対に公園などには足を踏み入れない。
「暗いところは駄目」
 彼女はいつもそう云って拒んだ。何か月も交際を続けながら、手を繋いで歩くことさえ可奈は拒否した。
「誘われればちゃんと待ち合わせの場所には来るくせに、石川さんはぼくが嫌いなんだね?」
「好きよ。好きだから、いつも待ち合わせの時間に遅れないように、必死で来てるじゃないの」
 可奈はいつも河田の腕にすがり着き、彼の眼を真剣なまなざしで凝視めた。
「だけど、手を繋ごうとすると必ず逃げるし……」
「わたし、汗っかきなの。だから、河田さんに嫌われるんじゃないかって、それが心配なのよ。河田さんは私の手の汗で汚れたら、気持ちが悪いでしょう……本当はあなたに抱きしめられたいって、そう思っているわ。でも、勇気がないから……」
 河田は可奈の身体に腕をまわした。
「こうされるのは構わないんだね?」
 可奈は慌てて河田から逃げた。
「駄目だって、云ってるでしょう。警察を呼ばれたいの?」

続く