漢字一文字の旅 第三巻
十四の一 【仏】
【仏】、もとの字は「佛」。
この右部の「弗」は「ほのか、かすか」の意味だとか。
そこから彷彿(ほうふつ)の熟語を作る。
【仏】の仏陀(ぶっだ)は古代インド、サンスクリット語の「buddha」の音訳語。
正しい悟りを得た者の意味だそうな。
そして日本には数多(あまた)の仏像がある。
その中で最も美しい仏像は京都広隆寺の弥勒菩薩(みろくぼさつ)。
国宝第一号であり、1960年、あまりの美しさに学生が近寄り、キスをしようとしたら指がポキッと折れたというエピソードがある。
当時筆者はまだ幼かったが、世間で大騒ぎになったのを憶えてる。
奈良の中宮寺の菩薩半伽像。7世紀頃の作品で、聖徳太子の母がモデルになったとされてる仏像だ。
笑顔は柔らかく、まさに現代風な顔立ち。
誰に似てるかなとこの間から考えてるが、うーん、最近テレビに出演している女優さんのようだ。
しかし、今にもテレビから飛び出してきそうな表情。
大昔であっても、こんな面持ちの人がいたのかと……、こんな思考、罰が当たるかな。
そして最近話題になっているのが、京都の金戒光明寺。
アフロヘアの仏さま。
だが、なぜ?
この仏像は五劫思惟阿弥陀(ごこうしゆいあみだ)仏。
この「五劫」はとてつもなく長い時間のことであり、その間の修行で髪が伸びてしまったとか。
えっ、これって冗談、それともホント?
それにしても、いろいろおられるものだ、と。
こんな、ああだこうだ評してる非礼、お許しください。
【仏】の顔も三度まで、となるかな?
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊