漢字一文字の旅 第三巻
十の五 【埋】
【埋】、元の字は草冠に「狸」の漢字で、犠牲(いけにえ)を地中に埋めることだとか。
そんな【埋】、なにも埋めるものは犠牲だけではない。
黄金を埋めたものが、埋蔵金。
武田信玄、明智光秀、豊臣秀吉の埋蔵金といろいろとあるが、やっぱり最も有名なのが徳川埋蔵金だろう。
江戸城は1868年4月に無血開城となった。
明治新政府は幕府御用金を資金にしようと目論んでいたが、城内の蔵を空っぽ。
新政府は諦めが付かない。
そこから御用金探しが始まったのだ。
候補地は日光、赤城山、足尾銅山と一杯あるが、今も見付かってない。
だが、
♪ かごめかごめ 籠(かご)の中の鳥は いついつ出やる
夜明けの晩に 鶴と亀が滑った
後ろの正面だあれ? ♪
この歌の中にヒントがあるとか。
かごめは籠の目で、六芒星の形。
徳川が建てた神社仏閣は、江戸/駿府/土岐/明智/佐渡/日光。これらを結べば、六芒星形。
その中心が、日光東照宮。
そして、そこにあるのが鶴と亀の像。
♪ 夜明けの晩に ♪
つまり、それに朝陽が当たった時に伸びた影の先に、見ざる言わざる聞かざるの彫刻がある。
その猿たちが見てるのが眠り猫の像で、その先の階段を登り行くと――徳川家康の墓。
♪ 後ろの正面だあれ ♪
墓の後に、下という暗号が刻まれてる。
ヤッター! ついにわかったぞ!
徳川埋蔵金は家康の墓の下に眠ってるのだ。
しかし、ここまでわかってるのに掘り起こした者がいない。
なぜ?
理由は……【埋】という漢字、地中に犠牲(いけにえ)を埋める意味。
どうも罰が当たって、犠牲にされ、埋められそうだから、だという説になっている。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊