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漢字一文字の旅  第三巻

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八の二  【乱】



【乱】、元の字は漢字第二水準、JIS:502Cの「亂」。難しい漢字だ。
右部は骨べら。これを使って、左部の糸のみだれをほぐそうとしている形だそうな。

そんな【乱】、秩序や国が乱れることであり、乱心、騒乱、反乱などの多くの熟語を作る。
反対に言えば、この世はそれだけ【乱】が多いということになる。

そして最近の【乱】は――鍋の乱。
この言葉を耳にした時、多くの人は、それって何? と首を傾げたことだろう。

某牛丼チェーンの○×家、激戦を勝ち抜くため新鍋メニュー「牛すき鍋定食」を出した。
しかし、店内を一人で切り盛りするワンオペで、客へのサーブをしなければならない。
とにかく手間が掛かる牛すき鍋定食、注文が重なったりすると、従業員一人では処理仕切れない。
挙げ句の果てに、客から文句を言われる。
これで従業員はぶち切れたのだろう、【乱】、つまり大量離職をして行った。
この【乱】により、立て直しの新人の採用もままならず、多くの店が閉店に追い込まれたとか。
これが「鍋の乱」だ。

乱れてしまった秩序、時給は1500円まで高騰したが、未だ【乱】は終息に向かってないようだ。

――治に居て【乱】を忘れず――
こんなことわざもあるが、骨べらで糸のみだれをほぐす形の【乱】、そんなへらで上手くほぐせるわけがない。
最初から糸がみだれないようにするか、みだれてしまえば、後は快刀【乱】麻ってことになるのだろうなあ。