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漢字一文字の旅  第三巻

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八の一  【水】



【水】、流れている水、真ん中は大きな流れであり、左右に小さな流れの象形だとか。
確かに、これには異論を挟めない。

【水】、我々はそれがなければ生きていけない。
そんな【水】だが、美味しい水、不味い水がある。
そして1985年、環境庁は日本の名水百選を選んだ。
吾輩の近場では、京都伏見の御香水。軟水で伏見の酒となる。

ならば日本で一番美味しい水はどの水だろうか?
1879年生まれの鳥井信治郎、1906年(明治39年)に寿屋洋酒店から赤玉ポートワインを発売した。
しかし、どうしても本格的な国産ウィスキーを生産したい。
そこで大事なのが水。
美味しい水を求めて日本全国を行脚した。そして京都の山崎、かって秀吉と光秀が戦った大山崎の決戦の地に辿り着いた。

そこにあったのは水無瀬川の水。
竹林に覆われた水源から流れ出る水、それはウィスキーに最適であり、工場を建設した。
それから苦労の末、1929年(昭和4年)にサントリーウイスキー白札(サントリーホワイト)と赤札」(サントリーレッド)を発売したのだ。

そう言えば、学生の頃、下宿で仲間が集まり、よくサントリーレッドを頂いたものだ。
あれは結局、秀吉と光秀の決戦の地の美味しい【水】が熟成され、酔っ払う液体に変化したものだったのかと妙な気分になる。

【水】という漢字、流れの象形だが、そこには時の流れも含まれているのかも知れない。