漢字一文字の旅 第三巻
六の一 【嵐】
【嵐】、人は「山」と「風」の組み合わせから、山から吹き下ろす強風、それが【嵐】だと解釈してしまう。
しかし、元の意味は山気(山間のもや)のことだそうな。
これを表す「嵐峰」という熟語がある。これは山気がたちこもり、青く見える峰のことだと。
いつの間に「山」の「風」の暴風雨になってしまったのだろうか?
それがよくわからない。
そんな【嵐】を、親鸞聖人は九歳の時に、
「明日ありと思う心の仇桜 夜半に【嵐】の吹かぬものかは」と詠んだ。
意味は、要は世の中何が起こるかわからない、だから気を付けましょうってこと。
そして、え、九歳? ホント? と疑ってしまうが、昭和初期に愛染かつらは旅の夜風で唄った。
♪ 花も【嵐】も ふみこえて 往くが男の いきる道
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ 月の比叡を 独り行く ♪
ここではっきりしてきた、【嵐】は踏み越えるものだと。
そんな【嵐】を冠にした、ジャニーズ事務所所属の男性アイドルグループの【嵐】(あらし)、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
メンバーは、敬称を略させてもらって、1980〜1983年生まれの大野智、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤の五人。
世界や芸能界に【嵐】を巻き起こしたいと、1999年ホノルル沖のクルーズ客船にてデビューした。
しかし、この五人、相葉君がAB型で、後の四人はA型、極めて血液型が合致した集団なのだ。
ああ、それでなのか、あまりハチャメチャなところがなく、みんな【嵐】っぽくなく、仲良くまとまってるなあとTVを観ながらいつも思ってしまう。
ならば兄貴分のSMAPは?
敬称を略させてもらって、中居正広、草?剛、香取慎吾がA型、木村拓哉、稲垣吾郎がO型。
うーん、なるほど、O型が混じってるだけで、ちょっとハラハラさせる。
それにしても奇妙だ。どちらもB型が混じっていないのだ。
しかし、一人いた。SMAPの元メンバーの森且行がB型だった。
なんの根拠もないが、馴染めなかったのかなあ?
B型の人が混じった方がもっと人情味が溢れるのになあと思ったりもして。
いずれにしても【嵐】、元の意味は山の靄(もや)。
暴風雨でありながら、どことなくもやもやとする漢字なのだ。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊