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漢字一文字の旅  第三巻

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三の二  【六】



【六】、小さなテントの形だとか。
これを積み重ねた字があり、(むつ)と言う。その音から数の【六】(むつ)の意味になったようだ。

【六】は整数、多くの言葉に使われている。
例えば、五感を越えた知覚の第六感。
また金沢の兼六園。
この【六】は宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望であり、この六つを兼ね備えた庭園だそうな。

そして、六書(りくしょ)という書物がある。
漢字の「偏」は意を表し、「つくり」は音を表すというルールがある。
その上に、漢字の成り立ちを次の六種類に分類。その書物が六書だ。

(1) 象形
     物の形の字形
            ── 日・月・山・木・耳・川 ──
(2) 指事
     位置や状態の概念、その字形の組み合わせ
            ── 上・下・凹・凸・本・末 ──
(3) 形声
     意味を表す意符と音を表す音符との組み合わせ
            ── 江・草・河・銅 ──
(4) 会意
     象形と指事の組み合わせによって、新しい意味を表す
            ── 岩・信・武・林・炎・家 ──
(5) 転注
     用字法の一つ、しかし定説はない
(6) 仮借
     他の同音・類字音の字を借用
            食物の器の意の「豆」を、穀物の「まめ」
            矛の一種の「我」を、「わたし」の意に

という具合に、【六】という漢字、とにかく五臓六腑に沁みわたる。