漢字一文字の旅 第三巻
十五の四 【琴】
【琴】、上部に「王」が二つ並んでいる。
それは糸が張りわたされた形で、下の「今」が音符だそうな
うーん、確かにそのように見えてくるから不思議だ。
そして二五弦の大型の【琴】を「瑟」(しつ、おおごと)と書く。
こちらの場合は二つの「王」の下に「必」だ。
ならば、この「必」は一体何なのだろうか?
調べてみたが答えが見つからない。
二五弦の「瑟」は弾くにあたって【琴】より難しく、楽譜も練習も才能も……、何もかもが必要。
だから、「必」ってことなのかな?
さてさて、ここで【琴】が伴われた楽器の漢字名を列記してみよう。
まずピアノは洋琴だ。
さらに……
オルガン 風琴
アコーディオン 手風琴
ヴァイオリン 提琴
ハープ 竪琴
ハーモニカ 口風琴 となる。
それにしてもオルゴールは自鳴琴。
確かに自分勝手に奏でるからな。
いずれもうまく漢字を当てたものだ。
ならばギターは?
六絃琴と書く。
なるほどと納得する。
というのも、筆者もシルバーの手習い。遠い昔に囓ったことのあるギターを習いだした。
しかし、これがとんでもないことに。
とにかく六弦もあるのだから、もう気が狂いまんがな。
それでも死ぬまでに一度で良いから弾いてみたい。
そんな夢を厚かましくも師匠に申し出てみました。
それはギタ女たちの一番人気曲、ジプシー・キングスのインスピレーション。
これはTV番組の鬼平犯科帳のエンディング曲で、憶えてられる人も多いことでしょう。
時間ある方は、You Tubeでご確認ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Tm7N0-LGpEc
まあ、格好良いと言ったらありゃしねえよね。
だけど、先生は仰いました。たった一言を――、「無理です」と。
これにより、鮎風は再認識致した次第でございます。
ギターは六弦【琴】でなく、才能を必要とする六弦「瑟」だと。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊