双子エピソード
....愛してる(レイス)
愛してるって、何千回、いや何万回言ってもらっただろう。
愛してる。
大好き。
離さない。
離れない。
どれも、アイツがくれた言葉。
甘い口付け。
きつくて、優しい抱擁。
くすぐったくて、もったいぶった愛撫。
そっと触れてくると思えば、強引に踏み込んでくる。
気まぐれで、そのくせオレのことを一番に考えてくれる。
まっすぐオレを見つめてくる瞳が、気恥ずかしかった。
なんでそんなに? って何度も聞いた。
そのたびに返ってくるのは、お前だから、って言葉。
オレなんかの何がいいんだって聞いても、お前の全てがいいんだって。
お前がお前であることがいいんだって。
よくわかんね、って言うと、アイツは笑っていた。
わかんなくってもいいさって。
オレはわかってるからって。
ヴァルって呼ぶ。レイスって呼んでくれる。
くすぐったくて、心地よい。
アイツの腕の中で身じろぎする。あいつのたくましい胸に、顔を摺り寄せる。
そうすると、ぎゅっと優しく抱きしめてくれる。
それが、とても、嬉しかった。
幸せ、って言うんだろうか。
こんな感じ、昔は知らなかった。
昔は、今と比べ物にならないくらいに荒んでいたから。
こんな幸せが、ずっと、ずっと続けばいいのに。
永遠に。