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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight 改稿版(後編)

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 アイツが行く世界は、そこじゃない。わたしたちと同じこの輝く世界だ。夢に向かって苦しみながら、楽しみながら、みんなで渡っていくこの世界だ。
 そこから手を取って、実緒を連れ出すためにやれるだけのことは、全部やった……と思っている。
「明日、大丈夫よね」
 言い聞かせるかのように、ネオはみちるに訊ねる。
「大丈夫さ。ネオの気持ちは、必ず届くよ。おばさんも、伝えるって言ったんだから」
 みちるがネオの背中を優しく叩く。
「信じよう、実緒を」
「うん」
「さあ、早く帰ろう。明日は早いよ」
 みちるは自転車に乗り、先に行った。
 ネオは足を止め、空に浮かぶ月を見上げた。今日もキラキラと輝き、彼女を優しく照らしている。自分がここにいてもいいと伝えているみたいだった。
 そして、浮かぶシルエットはうさぎ、ではなく、親友の顔。牢屋にこもって、ただ泣いている彼女。
 ネオは目を閉じ、片手を胸元の近くで握りしめた。