moonlight 改稿版(後編)
「あ、あのー」
そんな彼女にびびるも、怯(ひる)まずにドアの近くで座って作業しているメガネをかけた真面目そうな男子が、部員を代表してネオの前へとやって来る。おそらく部長だ。それも学年が一つ上の。
「き、君は、軽音楽同好会の麻倉さん、だよね」
「そうよ!」
上級生相手に威勢のいい態度をとるネオ。部長らしき男子はその勢いに押されつつ、
「い、一体、ウチに何のよう、ですか? 君の部活とは、無関係のは、はずですが」
「関係あるわよ! わたしの友人にね!」
「ゆ、友人?」
肩をすくめる彼に、ネオは、ええ、と頷(うなず)き、
「この部活に所属している、竹下実緒についてよ!」
「竹下、さん……?」
部長は『竹下さん』というワードに一瞬、ビクッと身体を震わせる。そのわずかな素振りをネオは見逃さなかった。
「そうよ! 急に一週間不登校になったんだけど、何か知らない!? 部活に行く前、暗い顔をしていたんだけど!」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ