moonlight 改稿版(後編)
第三章
タッタッタッタ。
なんで、どうして……。
ネオは全速力で、学生校舎から左側にある専門教室校舎へと向かった。
実緒(みお)が無理矢理押し隠していた『不安』を確かめるために。
下駄箱で別れた時の気の沈んだ顔が、頭の中で鮮明(せんめい)に蘇る。
嫌な予感が、現実となっていく――。
――ネオが彼女に違和感を覚えた三日後。
「じゃあ、二年一組の出し物はこれに決定します」
総合祭(そうごうさい)委員を中心とした話し合いで、総合祭の出し物が小さな子供たちにも楽しんでもらえるように、教室を使って『すごろくゲーム』を作ることに決定し、その準備で実緒とマスの絵を描こうと思ったのだが……。
彼女は突然、クラスから姿を消したのだ。彼女の座っている席には、前から誰もいなかったと思えるくらい、ごく自然と。
最初は風邪でも引いていたのだろうと思った。そう思いながら、二日、三日、そして四日目が経過。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ