ネヴァーランド 136
なんだって? びっくりしてしまっちゃったじゃないか。僕を意識してやってるのかい、君。
効果てきめんだぜ、興奮のあまり、もう射精しそうだ。もう、あ、あら、あららら。
川原の軽石を潰す音とともに、視野がさえぎられたので、つづけざまに、別様に、びっくりした。さえぎったのは両膝を抱えて着地した男の後姿だ。頭、上腕、背中、腰に蔦を巻きつけ、色とりどりの木の葉を根元のところでそれに突き刺している。木の葉の間から地肌が見える。黒い血の塊が滲んだまま固まって大小の引っかき傷を埋めている。いつのまにかステゴザウルスの背びれに立って頭上から僕を見張っていたハットリが、目の前に飛び降りたのだった。そいつは振りかえらずに低い声で言った。
行くぞ。
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作品名:ネヴァーランド 136 作家名:安西光彦