和尚さんの法話 「女人往生伝」
そしてどちらが先に遇ったのか忘れましたが、遇ったの
がお釈迦様なんですね。
だから仮に舎利弗が先にお釈迦さに出会ったとして、お
説法をお聞きして、そこですぐに帰依したんですね。
早速、目連に報告。
そして二人の弟子を連れてお釈迦様の弟子になったんで
すね。こういう経緯があるんですね。
そのお釈迦様にまだ会う前に、舎利弗と目連が、今日は
村で祭りがあるから祭りを見に行こうじゃないかという
ことで、では行きましょうということで弟子は置いとい
て二人で村の祭りを見に行くわけです。
村の丘の上で二人が休憩して、どちらか忘れましたが、
君は祭りを見に来て楽しかったかと聞くわけです。
いや、益々めいってしまったと。ちっとも楽しくなかっ
た。
君もそうか、僕もそうなんだと。
いうことでちっとも浮かれてこないんですね。
かえって寂しくなってくるんですね。
だからその人たちは、祭りに興味を持つということが全
く無くなってしまってるんですね。
そういう二人がお釈迦様の弟子になっていくわけですけ
ど、あの人たちは阿羅漢なんですよね。
阿羅漢というのは、三界の苦を出離した人なんですが、
この三界の苦を出離しようとする者、つまり仏に成ろう
と思う者ですね、そういう者はまず兎に角、お地蔵様を
信仰しなさいと、お釈迦様がそうおっしゃってるんです。
お地蔵様を尊敬したらお地蔵様は必ず誓願を叶えてくれ
て、業によって修行を妨げられるということを止めてく
れる。
遮止してくれるんです。と、いうふうにお経の中に出て
きます。
「無上菩提を修せんと欲する者、乃至三界の苦を出離せ
んとならば」
これが仏教なんです。
すくなくとも三界は出ないといかんし、究極的には仏に
成るのです。
そして自分だけじゃなくて、後からついてくる皆を三界
を解脱させて、成仏させていく。
これを「上求菩提、下化衆生」(じょうぐぼだい、げ
けしゅじょう)上に向かって菩提を求めていく、下衆生
を化す。
上に向かっては、自分のより高い悟りを求めて修行をす
る。
そして自分より下に向かっては、衆生を教化する。
これが菩薩堂だというのです。菩薩というのはこれを必
ず実践する。
菩薩にはまだ上の如来の位が残ってるんですからね。
そこまで行かないといかん。
自分の修行だけしてたらいいというのではないんですね。
下の者も救う。
ですから仏教は、よく人を誘うということをお経のな
かに良くも悪くもですが、あそこへお参りしましょうと
誘うことは誘うだけで自分が功徳になる。
其の逆に悪いことにそそのかして人に罪を作らせる。
これは大きな罪になるわけです。
「自信教人信、難中転更難、大悲伝普化、真成報仏恩」
自ら信じ人を教えて信ぜしめ、難中更に難に転じる、大
悲伝えて普(あまね)く化せば、真に仏恩に報ずると成
す。
仏道を説いて聞かせて説いて聞かせて上へ行くほど難し
いというのですね。
そして仏にしていくというのも行ですね、人を救ってい
くということも。
その大悲を多くの人に伝えて大勢の人を教化する。
教化すればそれはほんとうの仏恩に報ずると。
そういうことを人に説かないといけないんですが、今の
坊さんは説かないですね。
その大悲を以て、仏道とはこういうものだと、これが本
当に仏道に通じる道なんだと。
お釈迦様に仏教というものを残して頂いて、その道を歩
ませて頂いて恩に報いることなんだということです。
だから自ら信じ人を信ぜしむ。まず人に説くためには自
分がこれは間違いがないそのとおりだとまず信じて、そ
して自分が信じるだけじゃなく、人に信じてもらう。
和尚さんはいつもお話しをされるまえに、間違いはない
かと阿弥陀様とお地蔵様にお伺いをたてて夢のお告げも
頂いてるそうですので、まず間違いは無いとおっしゃっ
ていました。
若し、皆さん和尚さんのこのお話が本当だろうかと思
われる方は、夢見地蔵さんに夢のお告げをお願いしたら
どうでしょうかね。
夢見地蔵さんじゃなくても神仏という方は何方でもほん
とうの夢のお告げを下さいます。
お地蔵さんは眼開地蔵さんという眼のお地蔵さんとか安
産地蔵という安産のお地蔵さん。
夢見地蔵という困ったことがあったら夢で教えてやると
お地蔵さん。
お地蔵さんでも観音さんでもなになに地蔵とか観音とか
名前がありますが、その名前はなんでそう違うのかとい
いますと、一番最初の事件が眼を治したら眼のお地蔵さ
んになり、安産だったら安産のお地蔵さんと、こうなっ
てくるんです。
だからお地蔵さんや観音さんは、眼のお地蔵さんだっ
たら眼だけしか聞いてくれない。
安産だったら安産だけしか聞いてくれない、そんなもん
じゃないんですよ。
人間界の医師でしたら眼科とか産婦人科とか専門がい
ろいろあって専門と違うところへ他の病気をもっていた
ってだめですね。
ところが信仰の場合は、眼のお地蔵さんであっても、
お産のお地蔵さんであったって、こっちの願いはなにを
もっていったっていいんですよ。
この夢のことで以前にもお話ししたことがあるかもし
れませんが、参考に、或る方が、その方は和尚さんの寺
へ初めて来た方だそうですが、その方のご主人の病気の
ことで、この病気は医者は手術をするかしないかという
ことになってるんですが、手術をしたほうがよろしいで
しょうか、しないほうがよろしいでしょうか。という問
題なんですね。
それで和尚さんは八卦をたててみた。すると和尚さん
の判断では手術はしないほうがいいのではないかという
結果。
手術をすると具合が悪いんじゃないかなと思ったそうで
す。
然しながら病気はまずは医学ですからね、ですから医
者のしかとした意見を、医者はどういっしゃるのですか
と聞くと、十人のうち八人は、こういう場合手術をした
ほうがいいんだと。
して悪い場合もあるけれども、七三だというのですね。
七割とか八割はしたほうがいいと。そこに迷いがあるわ
けですね。
それでどうしようかというので相談にきたわけです。
和尚さんは手術はしないほうがいいと思います。
ですが医者が七割、八割したほうがいいとおっしゃって
るのだったら、こういう方法がありますからなさってみ
てはどうですかと。
お家はどこですかと聞いて、近くだったら夢見地蔵さん
を紹介するそうですが、ところが清水さんの下だと言っ
たんです。
それならば、清水の観音さんに、この病気を手術したほ
うがよろしいのか、しないほうがよろしいのか、どうぞ
夢でお告げを下さいと、言うて頼んでみて下さいと。
するとその奥さんは、私は宗教や信仰は馬鹿にはしま
せん。
しませんけれども一所懸命になって願いごとをするとい
うことは今までしたことがない。
そういう者が急にそんなことをしてもお告げはございま
すやろかと。
ないかも知れませんが、無かったら無かったでそれは埋
め合わせで功徳にはなるんですよ、それは無駄にはなり
ませんと。
今までにもそうして初めての方にも同じ手術の話しでは
ございませんが、そうするよう勧めてきましたからそう
なさってみてはどうですかと。
ひとつの例を話たのが、或る方が、夫婦別れをしよう
作品名:和尚さんの法話 「女人往生伝」 作家名:みわ