エイユウの話~終章~
1・彼がすべてを破壊した・1
緑の導師の言葉に、二人は茫然としていた。その時、扉が開いて心の導師が姿を現す。明の導師は呆れた様子で、しかし助けを求めた。
「ウィルオーズ、娘さんを何とかしてくださいな」
「これは失礼しました。アウレリア、緑(みどり)の魔女も、こっちへ来なさい」
心の導師に連れられて、二人は教員室を出る。
教員室の前で、心の導師は腕を組んで唸った。
「どうしたらやめてくれるんだい?私は娘も娘の友達も、悪く言われたくないのだよ」
親心というやつだ。心の導師だって、立派な彼女の父親なのである。
ショックのあまり言葉の出ない二人を、それ以上責めることなく、彼は二人の頭を交互にポンポンとなでた。そこで二人は我に返る。アウリーは涙目で父を見た。
「キース君は・・・キース君はゴパスじゃないですよね?」
可愛い娘の泣き顔なんて見たくなかっただろう。しかし、彼はそれを断定できる立場でもなかった。言葉を逃がすように、それでもしっかりと答えなければならない。だから。
作品名:エイユウの話~終章~ 作家名:神田 諷