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きらめき

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 2042年8月7日は、梅雨が明けた後の晴天が続いていた。
 秋田県能代から、ロケットが打ち上げられた。
 中島仁と池村美穂、他に数人の技術者。そして彼らは馬、犬、猫達をつがいで乗せていた。もちろん、人型ロボットのアンドロイド数体を伴っている。
 国々が競っていた宇宙コロニーの建設は、様々な障害を克服できずに実現しなかった。
 宇宙をさまよって、生き続けられる可能性は低い。
 衛星軌道上を数周回った後推進力を上げると、ロケットは地球圏外へ出た。
 搭乗者はシートに固定されたままで、カメラが映し出している地球から目を離せないでいた。


 白い雲がところどころで湧きあがり、青く輝く地球は美しかった。
 その中で緑色におおわれた、日本のちっぽけな姿。
 地球の上に、境界線などなかった。ただ海や川、山でわずかに隔てられているだけだ。
 日本の太平洋側の一地点、おそらく浜岡原発だろう、静岡あたりから白い煙が上がった。放射性物質を多量に含んだ水蒸気かもしれない。数分後、日本海側の数地点からも。さらに中国、韓国、ロシア。それは地球上すべての原発に、波及して行っていることだろう。
 数時間後、白い煙におおわれてしまった闇が広がる日本で、太陽の光のように、目を射抜くほどの閃光を放った地点があった。


「さよなら。人類は滅亡しても、地球はなくならない。再び戻って来ることが、出来るかしら」
 美穂の目にも、光るものがあった。
作品名:きらめき 作家名:健忘真実