眠り姫
それでも,姫はいつか目を覚ましてくれるのだろうか。
そしてまたボクに微笑みかけてくれるのだろうか。
<エピローグ>
月明かりに照らされて,
決して訪れることのない王子様を待ちながら眠る彼女の横で,
冷たくなってゆく彼女の手を温めるように包んだまま,
ボクはその夜,棺の傍から離れずに過ごした。
気のせいか, 彼女はボクに微笑んでいるかのように見える。
気のせいに違いない。
「姫,王子様は来ないんですよ……
来ても……ボクが守ってあげます……
あなたには,ボクさえいればいいんです……」
ボクは眠り姫が目を覚ますのをいつまでも待ち続ける。
ボク ガ キミ ヲ マモッテ アゲル……
美しい幻想の物語。
今日も少女は夢を見る。
ああ,これは少女の夢なのか,
それとも幻の魅せる世界か――。