小さなタンポポの旅
「それより~私はここまでです~。でもどうです~?皆私と別の風に乗り換えますか~?」
「まー僕はいいけど弟たちが」
「オレは兄ちゃんとならどこでもついてくよ!」
1人の弟が言うと同時に皆それに続き、「僕も」「私も」と賛成・・・なのかどうかわからないけど、僕なりに解釈すると「別にいいよ」かな?
「ふふふ~かわいい弟達ですね~」
「アハハ、まぁ可愛い反面困らされる時もあるけどね。僕、ブラコンかな?」
「そのほうがいいわよ~。私の兄弟や姉妹は皆私を置いて行ったわよ~。さんざん困らされたけど~、2度と見れないとなると切ない気持だわ~」
僕は彼女になんて言ってあげたらいいのか分からず、黙り込んでしまった。
「あ!ではさよなら~!皆お元気で~!!」
「ばいばーい!!!元気でねーーー!!!!!」
「さよならー!!!おねえちゃーーん!!!」
彼女の見送りを終えると、夕日が沈みかけている。もうすぐ夜だ。
弟たちはあくびをこぼす。僕もあくびをこぼす。弟は僕の手を握り拗ねてるかのように上目遣いで「寝る」と言って寝た。皆も僕の羽につかまって寝た。
もうすぐ旅は終わる。目的地はさすらいの旅人が言っていた「1年中タンポポが咲く場所」だ。その人は言っていた。「一番長く飛んでいたものがたどり着く」と。「幸せな場所」とも言っていた。
「むにゃむにゃ・・・兄ちゃん大好き・・・むにゃむにゃ・・」
寝言なのかわからないくらいハッキリとした言葉で発する妹。
まもなく夜が明ける、だがこの時間は・・・
「おい!!危ねぇんだよクソジジィ!!ったく邪魔!」
乱暴な人間がよくいる時間帯だ。銀色で堅そうな木を持って、口に煙の出る白くてちっちゃい木を銜えて、頭が白い小さい人を怒鳴ってる。
「何~お兄ちゃん~」
「何でもないよ。よく寝て大きく育て」
「うん~」
なんて言ってるか分からないけど、うるさいのは分かる。近所迷惑だ。人間はこういうのしかいないのか。でも頭が白い人は1人でいるときはなんだが暖かい。
僕がまだお母さんにくっついてた時、頭が白い人が近寄ってずっとお母さんのこと見てた。顔が皺くちゃになって。