moonlight 改稿版(前編)
「お疲れ様です」
実緒は中へと入る。
部員達は実緒を一瞥すると、声もかけずにすぐに顔をそらし、それぞれ作品の制作に向けて準備をしていた。まるで、「竹下さんの居場所はここにはない」と背中で言っているように見える。
部員達の素振りに、実緒は苦しそうな表情で窓際においてある白い布がかけられているキャンバス――自分の座席へと向かう。
席に座り、布をとる。
すると、
「!」
――実緒の頭の中が真っ白になった。
<<moonlight 改稿版(後編)に続く>>
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ