moonlight 改稿版(前編)
第二章
――夏休みが終わり、残暑の厳しい八月末。
「ほ、本当ですか!?」
一階の下駄箱の真上にある教室――生徒会室で、ネオがテンションの高い声をあげている。
「ええ。いつもならオーディションをして決めているんだけど、貴方たちは正式な『同好会』として活躍しているから、特別に免除しよう考えているの。ね、実行委員長?」
とネオの真正面に座っている――生徒会長の右隣にいる、総合祭実行委員長――大山茜(おおやま あかね)に話を振る。
「うん。去年のあのライブからずっと思っていたんだよね。それにアタシ、夏休みにあった『アマチュア・ロック・フェスティバルin IWAKUNI』に行ってたのよ。そしたらあなた達が出てきて……ライブを見て確信したわ。麻倉(あさくら)さん、是非moment’s(モーメンツ)のメンバーで総合祭を盛り上げてくれないかしら?」
茜は首を少し傾けて、ふふ、と微笑みながらネオを見つめる。
その視線にネオは迷わず目を輝かせて、
「や、やりますっ! というか、ぜ、是非やらせてください!!」
張りのある声で答えた。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ