moonlight 改稿版(前編)
――教科書を鞄の中に入れている実緒の下へと向かった。
早くもフレンドリーにあだなで呼ばれた彼女は、
「あっ、ネオちゃん」
何の抵抗もなく、気さくにネオの名を呼ぶ。普段はおとなしいけど親しくしてくれる人には打ち解けることができるのかも、とネオは胸を弾ませる。
「お疲れ〜、今から部活?」
「うん」
「やっぱり、美術部?」
「そうだよ」
「なるほど、納得」
「ネオちゃんも今から軽音の活動?」
「そうよ……ってなんで知っているのよ!?」
こんなに大人しい子は自分のことをあまり知らないのでは、とネオは内心失礼ながらも疑う。
「え? だって、去年、あんなに騒いでいたら、誰もが注目するんじゃない?」
「うっ……そ、そうね。あんなに大々的なことをやっていたら、ね」
あははは、とネオは苦笑を浮かべる。
本当、あれは色々と迷惑なことをしたなと思う。
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ