moonlight 改稿版(前編)
腕組みしてそこに立っているのは、
「み、みっちぃ……」
長里(ながさと)みちるだった。
刺々しい漆黒(しっこく)の髪の毛先が、さらに洗練されたものになっている。その姿はまるでSっ気たっぷりの悪の女王だ。心なしか黒いオーラが背中から見える。
ネオと女子学生のみならず、周囲にいるギャラリーの皆さんまでもが、女王の怒りに慄く。
シーン、と者抜けの殻になったかのように静寂につつまれる。
ややあって、女王みちる様からの、
「おまえらぁ―――っ! これは見せモンじゃねぇんだぞ! とっとと失せな!」
雷が学生たちを襲う。
「うわあぁぁっーっ!」、「悪魔が現れたーっ!」と廊下にいる学生たちは、一目散にその場から離れていった。
「……ったく、だれが悪魔だって? 失礼にもほどがあるっつーの!」
廊下を横目で睨みつけ、ふう、と息をつく。
いやいやいや、悪魔だったよ! 雷が見えたよ! と内心でツッコミしつつ、ネオはキッ、と自分を睨み付けてくるみちるを見つめる。まだ、黒のオーラは消えていない。
「……」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ