moonlight 改稿版(前編)
女子学生の耳が、ネオの罵声(ばせい)を左から右へと貫通し、あまりの大声にびっくりして、首から頭にかけて電撃が走り、震える。
「……」
彼女はビクビクしながら、左にいるネオの方へ顔を向ける。
「そ、そんなに怖がらないでよ」
「だ、だって、あ、あまりにも大きな声だった、から……」
「わたしに気づいてくれないんだから、そりゃ大声も出すわよ」
ちょっとやりすぎたかな、と内心思いながら、ネオは不快顔を見せる。
「あ……ごめん。自分の好きなことをやっていると、つい夢中になって……」
「もうー」
女子学生は顔を赤くし、視線を下に向ける。どうやら集中していると、いつもあの状態になるみたいだ。
「そ・れ・で、何描いているの?」
「え?」
「何を描いてい・た・の!?」
ん、とネオはきょとんとしている女子学生の作品に指を差す。
「あ、ああ、こ、これのこと?」
作品名:moonlight 改稿版(前編) 作家名:永山あゆむ