数式使いの解答~第二章 雪と槍兵~
ハクメンが顔を上げると、そこにはローレンツの顔があった。
彼は口を開き、言った。
「ほらな、倒せた」
トスッ、と軽い音をたて、ハクメンは座り込んだ。
呆けたような、虚ろな表情だ。
「勝った……のか?」
ヘルメスが疑問の言葉を漏らした。
すると。
ぐらっ。ローレンツの体が大きく傾(かし)いだ。
「ローレンツ君!」
ミリアが受け止め、彼の体をかき抱く。
「悪い。少し疲れたから寝るな?」
「えっ!?」
ミリアが体を離し、彼の顔を見つめる。
浅く、寝息を立てている。
ほぉ、と息を吐き出し、ミリアは薄く微笑んだ。
「もぉ、……バカ」
言いつつも、ミリアは顔が緩むのを抑えられなかったのだった――。
作品名:数式使いの解答~第二章 雪と槍兵~ 作家名:空言縁