魔法使い、旅に出る
4
広くも狭くもない、一人でも充分店を回せる広さの店の片隅で彼女は読書をしていた。
日差しは暖かく、風は穏やか。
絶好の読書日和である。
そんな彼女の膝にとすっと紙飛行機が舞い落ちた。
「?」
紙飛行機には文字が羅列している。
怪訝に思った彼女は紙飛行機を開き内容を読んで小さく笑んだ。
そして返事を書いて紙飛行機をそっと飛ばした。
〈こまちゃんへ。
培養ポットと携帯ポットをドッキングって可能?
あとこの飛行機はお子様が遠距離伝達魔法にチャレンジしてるのでお返事書いてリリースしてね(はぁと)
かぴーより〉
☆
窓の外を見ては部屋をウロウロ。
ウロウロしては外を。
一休は初めて使った遠距離魔法に落ち着かない。
「届いたかな? お返事来るかな?」
普段お友達に送っているというお手紙の応用なのだが、何分相手はホキャイド。
一休でなくてもそわそわすると言うもの。
「一休~、雨が入るから窓閉めて」
「だって飛行機帰って来たとき困るよ!」
心配顔の一休。
そんな一休に犬は溜め息を着いた。
このやりとり、実は三回目なのである。
「じゃあ――あ、一休飛行機!」
母の視線を辿る。
「うわああい!」
心配顔はどこへやら、まんまる笑顔で飛行機に手を伸ばす一休。
「おかーさん、かぴちゃん、お返事! お返事来たよ!」
「良かったね♪」
「やったね☆」
「さよっち、飛行機帰って来た!」
「わぁい!」
大はしゃぎの一休から飛行機を受け取り、返事を見てみると――。
〈出来るよ。材料ないけど。
こまき
追伸
アイスドラゴンの卵の殻か抜け殻持ってきて。本当は鱗が欲しいけど〉
犬とかぴーは「ドラゴンって脱皮するんだあ」と違う方向でびっくりしていた。
斯くして一行はアイスドラゴンの巣を探しがてらホキャイドに向かう事となった。
クエスト
アイスドラゴンの卵の殻、もしくは抜け殻を手に入れる。
ヒント
ドラゴンは夜に活動する。