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幻の同人誌と主宰者の尽力~今、伝えておきたいこと~

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皆様、おはようございます。

 昨夜、迷ったけれども歴史ロマン文学賞に応募したというお話をしましたね。

 あれで、同人誌時代に触れて、思い出したことがあります。

 昨日も軽くお話ししましたように、たいしたことのない私のアマチュア作家の道のりは

 今までのところ、大きく三つに分けられます。

 二十代の投稿時代、更に初めての単行本千姫夢語りを出すと同時に

 全国同人誌コスモス文学の会に入会してから、やがてコスモス文学が

 終刊となるまで。そして、終刊から一年後、ネットサイトに参加して現在に至るまで。

 この同人誌時代は私にとって多くの経験を与えてくれ、意義あるものとなりました。

 コスモス文学は約30年に余りにわたって多くのアマチュア作家の作品を

 世にひろめた同人誌です。

 同人誌というと、少人数制でお互いに意見を闘わせて熱く文学論を語る-なんて

 イメージがあるかもしれませんが、ここは、そういう場ではありませんでした。

 本部は長崎にあり、全国的に会員がいて、会そのものが公募で

 年に四回、コスモス文学新人賞、年に一度、年間賞のコスモス文学賞が募集

 されていて、結構有名でした。

 主宰者は広岡航さんといわれます。

 私も電話で数度、お話ししたことがあります。
 
 どのような方なのかを知りたくて、何度か検索をかけても、コスモス文学の主宰者

 であるということ程度しか知り得ませんでした。

 この広岡さんが体調を崩されてコスモス文学の存続が難しくなるまで

 何と広岡さんは三十年あまりもずっと、賞の公募や選考、発表、同人誌や会報

 の発行、発送などを全国にいる多くの会員に向けて、なさっていたわけです。

 私自身も約17年間、ここでお世話になりました。

 私が今日、どうしてもお伝えしておきたかったのは、この同人誌の存在であり

 このコスモス文学の会を長きにわたって支え続けられてきた主宰者の方の

 ことでした。

 どのような方かは判らないにせよ、30年もの間、ずっとこれだけのことを続けられた

 というのは本当に偉業だといえると思います。

 今だからこそ言いますが、17年間、コスモス文学は私の心の灯りでした。

 年に四度、会の方からコスモス文学新人賞の結果通知が届くのを

 わくわくして待っていたものです。

 もちろん会社組織ではなく非営利団体ですので、会費は必要です。

 しかし、一年に8000円から10000円程度で、年に四度、立派な冊子が届く

 わけですから、正直、高かったとはいえません。

 むしろ、これはあくまでも私の推測にすきなことをお断りしておきますが-、

 主宰者の方の持ち出し、つまり私財投資などもかなりあったのではと思います。

 ただ、これは私の勝手な憶測なので、くれぐれもご注意ください。

 さて、いずれにせよ、私のようにコスモス文学を心のよりどころにしていたアマチュア

 は全国に多かったのではないでしょうか。

 これは主宰者が突然、倒れられてコスモ文学存続が難しい、

 或いは終刊決定となった時、ネットに書き込まれた多くの同好の士の

 呟きでも判ります。

 多くの方が終刊を惜しみ、再刊を熱望していたことが窺えました。

 私もむろん、その一人でした。

 コスモス文学の最も良いところは、大らかであったこと。

 どのような作品でも受け入れて貰えた。更に、

 同人誌では他に類を見ず、会そのものが公の賞を公募していた。

 それもマスコミなどにも公表されます。

 そういうところは実は書き手にとって、とても励みになもるし魅力的なのです。

 この二つが私達アマチュア作家を惹きつけてやまなかったのですね。

 終刊後の私の葛藤と次の落ち着き先を見つけるまでは、

 既にここにも幾度も書きましたが、

 コスモス文学に似たような同人会をネットで血眼になって探し回っても

 結局、見つからずじまいでした。

 少なくとも私の知る限りでは、現段階では存在しないだろうと思います。

 30年、そのような形で同人誌を続けたと言葉にすれば簡単ですが、

 現実には様々な苦労がつきものであったでしょう。

 まず同人誌は営利団体ではないので、売って稼ぐわけにはいかない。

 そうなると、資金繰りで困難になると、主宰者自身が負担しなければならない

 部分も出てきます。

 主宰者が別のお仕事を持っておられたなら、その傍ら、すべての事務作業を

 こなさなければならない。

 営利目的でないからには、これが仕事ではなく、別にお仕事を持っておられた

 はずです。

 更においくつのときから始められたかは判りませんが、30年という長い年月が経てば、

 青年も老人になりますし、

 定年後に始められたのなら、尚更です。

 これも私の勝手な考えですが、終刊もそのような理由があったのでないかと

 思われます。

 しかし、私が今日、ここでお話ししたいのは終刊の理由ではなく、

 主宰者のご尽力です。

 何の見返りもなく、ただアマチュア作家の作品を世に広めるために、

 長い間、同人誌を続けられた-、今から振り返ってみても、

 このような方はもう二度と現れないのでないかと思います。

 まさに、文学が好き、全国のアマチュアのよりどころとなるべき

 そういう我欲を捨てての純粋な信念がなければできないことです。

 コスモス文学が存在していた時代は有名であったことの会のことも

 終刊後はやはり当然かもしれませんが、聞かれなくなりました。

 昨夜、久しぶりに会のホームページにいってみましたが、

 既に、今後の作品募集はなく、長らく、ありがとうござました、という

 主宰者のコメントが残されているだけでした。

 それで、改めて本当に終わってしまったのだなと思いました。

 その時、今ならまだ語れると考えたのです。

 時が経てば、私自身の想い出も風化します。

 その前にコスモス文学という同人誌があったこと、更に、広岡さんという

 一人の文学のために無私の心で同人誌を続けた人がいたということを

 是非、書き残しておきたかった。

 私がもっと有名であったり、達者な筆であれば、

 もっとうまく語れるのですが、残念ながら、この程度です。

 でも、書かないよりははるかに良いと思って書きました。

 コスモ文学がなくなってから、ご周知のとおり、私はネット小説の世界に

 活動の場をうつしました。

 正直、やはり、全国規模とはいえ、同人誌だけで活動していた頃は

 井の中の蛙的な部分もあったのだなぁと実感しました。

 若くて才能のある人は次々に現れます。

 そんな中で、時に30年、自分が積み上げてきたものは何だったんだろうと

 疑問に思ったことさえありました。

 しかし、地道に積み上げてきたものは私自身の財産であり、