病院の下の世界
「あれ?ここどこだ?」
僕は気を失っていたのか、僕のまわりには虫がいっぱい集まってる。そこは地下道になっていて、道にはロウソクが立ててあって、しかも年季が入ってそうな奴ばっか。おまけにクモの巣があちこちに張り巡らされている。
僕は立ち上がって歩き始める。が、出口はすぐそこにあった。大きな扉だ、城にありそうな扉、僕の身長は140cmだけど少なくとも僕より2倍は大きい。
僕は力の限り扉をこじ開けると、そこにヒナセ君がクッキーを食べながら月を見ていた。
「あれ?ヒナセ君?なんだよ~いるなら僕を探してくれたっていいじゃないか~」
だが、ヒナセ君は僕の言葉に聞く耳を持たない。
「ヒナセ君?」
「あぁ~!ヒナセ君て、この人のこと~?」
振り返ったのはヒナセ君、いや、人形だった。目がボタンで口が糸で縫ってある。
「ひひひ~。ヒナセ君なら今頃~ひひひ~」
「あ・・・ひっ・・・・」
僕は腰を抜かし、その場に倒れこんだ。その人形は一歩、また一歩、とゆっくり僕に近づいてくる。
「あっ・・・く、来るなぁああああ・・・」
「おいおい~君がヒナセ君を探してるんだろ~?ならちゃんとお出迎えしないと~」
僕は立ち上がろうとする、だがなかなか立ち上がれない。
「まぁ~かわいそ~なヒナセ君。お友達に怖がられる存在なんて、もう友達じゃないよねぇ~?ね?シュウくん」
「な、なんで僕の名前知ってんの?」
その人形は「きひひ」を笑うだけで、今気づけば、あと手を伸ばせば彼に触られる距離まで近づいていた。
「さぁ~おうちにかえろ?そしたらヒナセ君みたいにしてあげるからさ~」
「い、いやだ。止めろーーー!!!」
僕は勇気を振り絞って立ち上がり、もと来た道へと走っていく。
「逃がさないよ~だ」
だが、彼は僕より走るのが早く、段々距離が縮まってきた。
「ひぃ~~~!!!」
彼に触れられた。多分僕は死ぬ。途端に意識が飛ぶ。