Beautiful Dream
「そこからで良いから、聞いてほしいの。今朝はごめんなさい。あなたの気持ちもわからずに、あなたを責めた。何よりも、誰よりも先に私に会いに来てくれたのに。あなたが覚悟を決めたのなら、私も覚悟を決めた。この先に何が起きても逃げない。もう迷わない。ずっとあなたの傍にいる。もうあなたをひとりにさせたりはしない。私をあなたの
隣に連れて行って」
人々が注目する中で、私はエスカレーターに向かって歩き出そうとした。
「来るな。そこで待ってろ、俺がそっちに行くから」
上がるエスカレーターを逆に走ってあなたが下りてくる。
まだ人々は私たちを見ている。
少しずつ、近づいていくふたりの距離。
一歩また一歩と、あなたが私に向かってくる。
そして、今目の前にあなたがいる。
「ばーか どうするんだよ。こんなに注目されちまって」
私は上目使いであなたを見た。
「私に言いたいことがあるでしょ。聞かせて。」
「もういい。お前の答えも聞いたし。」
「私は、聞きたい」
あなたが、私の腰を両手で引いた。
「人が見てる」
「いまさら何言ってんだよ」
私は照れて目をそらした。
「いいから俺を見て、ちゃんと俺だけを見て」
あなたをまっすぐに私は見た。
「愛してる。俺は一生お前のものだから」
あなたの、プルンとした唇が私の唇を奪っていく。
そして、
「私も愛している」
そう、心でつぶやいた。
作品名:Beautiful Dream 作家名:蒼井月