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虹が見たいの

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「夜の虹は この世で最高の祝福」

「そう、そういう言い伝えか。なるほどね」
「私は、そんなパワーが欲しいの。癒してあげるの。守ってあげるの。ずっとパパを……」
「優しいんだね。きっと叶うよ。ナイトレインボー」
「叶う?」
彼女は、ホースを持つ手を上に上げた。当然、その水は、彼女の頭の上から彼女の全身を濡らしていった。
まだ、寒い季節ではないにしても 秋風吹く夜には冷えてしまう。
「無茶するなよ」
僕は、彼女からホースを取り上げた。
だが、そのあとは、信じられないとしか言いようがなかった。
彼女が居ない。
ホースから水なんて出てやしない。
地面も濡れていない。
急に怖くなって ホースを投げ出した。
「や、やめてくれよ。もう夏じゃないんだからさ」
立ち去りたかった。一刻も 此処にとどまりたくない気分なのに動けない。

それなのに 僕は夜空を見上げた。
満月の前夜。
少し物足りないのに 綺麗な月は あどけなさの残る彼女のような気がした。
その月の下。
ぼんやり白っぽく描かれたアーチが見えた。なんとも 神秘的な光の橋だ。
充電切れのスマートフォンが憎らしい。

「パパに逢えたのだろうか」

僕は、しばらく見上げていた気がする。
そうなんだ。気がつけば、僕は自宅のベッドの上で目覚めた。
握った掌に何かある。そっと開いて僕は笑ってしまった。

『パパ ダイスキ』

掌に書かれてた文字と光る石は キミからのプレゼントなのかい?


     ― 了 ―
作品名:虹が見たいの 作家名:甜茶